ウイングアーク テクノロジーズは1月26日、統合基幹業務システム(ERP)に蓄積されたデータを活用するビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Speed Cube」の出荷を開始したことを発表した。同社のBIツール「Dr.Sum EA」の上で稼働する。
Speed Cubeは、ERPに蓄積されたデータをDr.Sum EAの上に効率的にデータを保持するためのデータ構造、業務に直結した分析テンプレートなどBIに必要なものをパッケージとして提供する。Dr.Sum EAのビュー定義、クエリなどBI環境構築に必要なテンプレートを搭載している。ERPからのデータ抽出とDr.Sum EAへのデータインポート作業で、複雑な開発プロセスをかけずに、コストを抑えた短期構築ができるとしている。
一般的にERPのデータを自在に分析できる環境を構築するには、要件定義からデータ項目マッピング、オンライン多次元分析(OLAP)データのためのキューブの設計と開発、クエリの設計と開発、テスト稼働などの工程が必要であり、約10〜12カ月かかるといわれている。また業務ニーズにあわせて定義を変更することが難しく、開発の作業には専門的な知識と技術が必要ともされている。今回のSpeed Cubeは、そうしたBI環境を最短で約2日で構築できるという。導入と運用にかかるコストも従来の約4分の1になるとしている。
Speed Cubeには、販売管理や購買管理、在庫管理、財務会計、生産管理向けのテンプレートを用意、基本業務に必要なビュー定義を実装している。たとえば売れ筋分析や販売予測、需要予測、要因分析などを在庫計画や生産計画に活かすなど統計や解析も含めた機能を活用できるとしている。また、業務情報を統合管理でき、リアルタイムに経営状況を把握できるともいう。
Speed Cubeの価格は2000万円から、年間保守費用は300万円。ウイングアークは大手企業や中堅企業のマネジメント層や経営者層を対象ユーザーとして初年度で20ライセンスの販売を目指す。現段階では「SAP ERP」に対応しているが、今後順次ほかのERP製品にも対応していく。