サステナビリティは、環境を持続させる低炭素社会への移行で先陣を切ることが、新たな事業機会にもなりうるという考えで、その一点において、従来のやりっぱなしなエコ活動とは異なる考えだといえる。
また、やりっぱなしで終わらせないためには、企業のサステナビリティ活動を開示する必要もある。取り組みを単に示すのではなく、その結果を開示することが重要で、他社の取り組みとも比較できるような統一基準も求められている。

SAPジャパン バイスプレジデントでインダストリー戦略本部兼バリューエンジニアリング本部 本部長の脇阪順雄氏によれば、この分野ではオランダに本部を置く非営利団体、Global Reporting Initiative(GRI)が策定するサステナビリティ報告書作成のガイドラインに則るのが一般的。グローバルでは1226社、日本国内では79社がGRI準拠の報告書を発行しているという。
SAP、サステナビリティ製品の提供を開始
ZDNet Japanでこれまで伝えてきたとおり、SAPジャパンはサステナビリティ分野での取り組みを強化している。
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SAPジャパンが2月3日に開催した記者発表会では、サステナビリティソリューション「SAP BusinessObjects Sustainability Performance Management」(BO SPM)を同日から提供することが発表された。BO SPMはGRIの「GRI Certified Software and Tools Program」の認定を初めて受けたソリューションで、社内活動のパフォーマンス向上と、社外への開示の両方を支援する。

SAPジャパン ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 GRC/EPM事業開発本部 GRCグループマネージャーの中田淳氏は、「一般論で言えば、CSRレポートを作る際に最も苦労するのがデータ収集」だと述べ、この課題を解決するのがBO SPMだと強調する。
「データ収集は非常に時間を取られる分野。メールや電話、Excelシートが飛び交うことになり、レポート作成で多大な工数が発生することが課題だった」(中田氏)
BO SPMはSAPシステムからの自動的なデータ収集が可能であるとともに、非SAPシステムでもウェブサービスを経由して収集することが可能。加えて、アンケートフォームやリクエストフォームを活用してデータを収集することもできる。
また、サステナビリティにかかわる戦略の策定および遂行という点では、KPIの定義および予実確認、進捗管理、パフォーマンスのレポートなどに対応。中田氏は「ITの一番のメリットはリアルタイムにデータを更新できること。(目標が)未達であれば、それを提示することで、何をしたらよいか気づくことができる」と述べる。目標のオーナーが誰であるかなどを示すことで、達成のために「コミュニケーションが発生する」(中田氏)ことにも期待している。
外部への活動報告では、GRIなどのフレームワークに準拠したKPIライブラリが提供される。
脇阪氏は、「日本のマネジメント層には、このような(環境などの)問題にきちんと対応せねばと考えている人が増えている。しかし、これは現場の成果の積み上げで終わる問題ではない」と指摘。経営層の積極的な関与が必要であることを示唆した。
また、SAPジャパンでは「サステナビリティにコミットしているお客様を中心にビジネスを展開する。それがサプライチェーン、バリューチェーンになって広がる」(脇阪氏)との見通しで、今後3年間で40社程度に導入する意向だ。