サイボウズは2月8日、大規模向けグループウェアである「サイボウズ ガルーン2」と連携するWindows phone用同期アプリケーション「サイボウズモバイルKUNAI for Windows phone」と、BlackBerry用同期ソフト「サイボウズモバイルSync for BlackBerry」を発表した。2010年3月末までに発売の予定。
サイボウズ社長の青野慶久氏は「今回のスマートフォン対応によって、あらゆる場所に、ビジネスフィールドを持ち歩く感覚を提供できるようになる。KUNAIは、忍者が使っていた『くない』を語源としている。忍者は、くないを武器や工具として利用し、攻めにも守りにも応用できるツールとしていた。現在のビジネスパーソンに、スマートフォンをくないのように使ってもらいたいと考えて命名した」という。また、「くないは漢字で書くと『苦無』となり、重たいパソコンを持たなくてもよくなり、苦しく無いという意味でもある」とした。
主な機能として、自動シンク(同期)、スケジュール、ワークフロー、社内メール、eメール、アドレス帳の確認が可能なほか、添付ファイルの閲覧も行える。
ターゲットは「経営者や役員などのビジネスリーダー」と定め、モバイル環境でさまざま情報入手を可能とするほか、その場でワークフローの承認も行えるようにする。ビジネスマンによる「解決」「決断」「決裁」を“三決”とし、「どこにいても、三決が行える。社員にとっても、上司が出張や外出中のために決裁が遅れ、業務スピードに影響したり、ストレスになるといったことがなくなる」(サイボウズ、モバイル戦略部部長代理兼プロダクト管理部プロダクトマネージャーの中光章氏)という。
サイボウズモバイルKUNAI for Windows phoneの価格は、1ユーザーあたり月額1500円。利用環境として、ガルーン2.5.4と、Windows Mobile 6.1 Professional以降のスマートフォンが必要だ。利用料金について、同社では「これまでの利用方法では、携帯電話の料金が月7000円、パソコンのデータ通信カードの料金が月5000円で、合計で1万2000円。これに対して、スマートフォンでは月8000円と、KUNAIの月1500円を合計した月9500円で済む。毎月2500円も安くなり、これが100人の会社だと月に25万円、年間では300万円のコストダウンが可能になる」と説明する。
また、メールを閲覧するための起動時間も「パソコンでは起動してブラウザを立ち上げ、会社のネットワークにアクセスして、メールをチェックするまでに約180秒。携帯電話ではこれが約60秒に短縮できる。だが、スマートフォンとKUNAIでは約5秒で利用できる。セキュリティの設定も手軽であり、セキュリティコストの削減も可能」などとした。
青野氏は、「私は歩いていて赤信号に引っかかると人生を1分損したと思うが、サイボウズモバイルKUNAIがあれば、その間、決裁なども行えて時間が無駄にならない。オフィスのエレベータを待っている間も同じ。日本人は生産性が低いといわれるが、これが解決できるツールになる」と語った。
一方のサイボウズモバイルSync for BlackBerryは、「サイボウズリモートサービス」の利用者は無料で利用可能。対応環境は、ガルーン2.5.4およびリモートサービス2.2.0となっている。
同社では、2009年からクラウドおよびSaaSでのグループウェア製品の提供や、業務系グループウェア事業を強化するなど、利用環境の多様化にあわせた製品提供を行っている。また、2009年12月には、スマートフォン対応の第1弾製品として、「サイボウズリモートサービス」のiPhone対応を発表している。今回の新製品は、グループウェアの利用シーン拡大に合わせた製品展開のひとつと位置づけ、今後の普及が見込まれるiPhoneやAndroidなどの各種スマートフォンにも積極的に対応していく考えを示した。さらに、今夏に予定している「サイボウズ Office 8」への対応も予定している。
なお、今回の発表にあわせて、抽選で100社を対象に各社スマートフォンを一定期間無償で貸し出し、アプリケーションを試用できる「試(ためす)KUNAIキャンペーン」を実施するという。