NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2月9日、国際IPバックボーンの回線容量が日米間で300Gbpsに達したと発表した。地上デジタル放送約1万8000チャネル分に相当するという。
日米間の回線容量は、サービス開始当初の1997年では45Mbps程度だったという。その後、2002年に5Gbps、2006年に58Gbpsと増強し、2007年には100Gbpsを突破した。NTT Comによると、ブロードバンド化の浸透や動画配信サービスの増加などにより、回線容量が前年比1.5倍、2007年比約3倍増加しているという。
インターネットプロバイダー(ISP)は、顧客数や規模、力関係により「Tier1」「Tier2」「Tier3」といった階層に分類される。NTT Comは、全世界10社ほどで構成されるTier1のうちの1社。SprintやVerizon BusinessなどTier1のISPと無償で相互接続(ピア)を行っており、世界中にある31万のルート情報を取得している。
一方でTier2、Tier3に属するISPは、上位のISPからルート情報を買うこと(トランジット)で、より広いエリアにネットを接続できる。Tier2やTier3のように複数のISPを数珠つなぎで経由する場合、テレビ会議やストリーミング配信といったサービスで、遅延やパケットロス、ジッター(揺らぎ)などのトラブルが発生することがあるという。
NTT Comは、日本から欧州までを一気につなぐネットワーク「Tier1バックボーン」を保有しているほか、サービス品質保証制度(SLA)を導入している。テレビ会議やストリーミング配信といったサービスでの品質を確保できるという。NTT Comは現在、日欧で27Gbps、アジアオセアニアで258Gbps、米欧間で60Gbpsのトラフィックとなっている。ISPトラフィックの経由量をもとにしたランキングでは、Tier1事業者の中で世界第5位に位置している。
このほかNTT Comでは、総延長約1万8000kmの日中米間光海底ケーブル「Trans-Pacific Express(TPE)」や、日本から東南アジア約8000kmの海底ケーブル「Asia-Pacific Gateway(APG)」、日米間2万1000kmの海底ケーブル「PC-1」などトラフィック増加を見込んだ設備増強をそれぞれ実施している。