クラウドの価値を作るのは開発者
続いて登壇した、マイクロソフト執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部本部長の大場章弘氏は、初期版のリリースから約1年をかけて、Azureが世界中の開発者による評価とフィードバックによりブラッシュアップされてきたことを説明。「より広い開発者に使ってもらう準備ができた。評価に参加してくれた皆さんに感謝したい」と謝辞を述べた。
大場氏は、「現在、クラウドの議論はコスト削減の観点で語られがちだが、実際のクラウドの価値は開発者が作ったアプリケーションをユーザーが使わないと出てこない。(マイクロソフトのクラウドコンピューティングは)ユーザーが触れる部分としての『スリースクリーン』と合わせて、新しいITを考えていこうというのがコンセプトだ」と述べ、これまでの投資を生かしつつ、Visual Studioをツールとしてスクリーンからクラウドまでのすべてのレイヤに向けた開発が可能なAzure Platformのメリットを訴えた。
Azureがこの1年で実用に耐えうるだけの機能強化を遂げたことを説明するのと合わせて、大場氏は今回のイベントに合わせて米Microsoftから招いたWindows Azure担当テクニカルストラテジストであるSteve Marx氏を紹介した。
Marx氏は「Windows Azureは登場から1年を経て、実際のユースケースで必要となるより複雑なアーキテクチャに対応可能になった」とし、「単純な例」として実際にAzure上でIIS、サーチサーバ、メールサーバの各サービスを起動し、共通のストレージにアクセスできるようにする環境を構築して見せた。
また、大場氏は今後追加が予定されているフィーチャーとして「運用、可用性の向上」「スケーラビリティの向上」「自由度の向上」、そしてPHPやJava向けSDKの提供を含む「インタオペラビリティの向上」といった点を挙げた。
基調講演では、実際のビジネスにWindows Azureの導入を行っていくことを表明している企業ユーザーの代表者も登壇し、マイクロソフトのクラウドプラットフォームに対する支持を表明した。22日にAzureの導入が発表された企業ディスクロージャ支援サービスを提供する宝印刷をはじめ、動画配信サービスを行うグーモ、ウェブコンテンツ管理システムの一部としてAzureの導入を行うソフトバンククリエイティブおよびリード・レックス、ERPシステムの一部をクラウドで提供する富士通システムソリューションズ、クラウドでのドキュメント管理やイメージングデバイスとの連動を進めるキヤノンといった各企業の代表者が順に「クラウドとオンプレミスのシームレスな連携」「既存の開発ノウハウの継承」「環境の一本化による開発、運用管理の簡素化」といったAzureによるメリットへの期待を述べた。