日本IBMは2月24日、同社研究開発チームの取り組みに関する説明会を開催。2010年の重点分野として産官学の連携で取り組んでいる「Smarter Planet」の実現について紹介した。
”スマート”な3つの取り組み
IBMは、神奈川件大和市の大和研究所をはじめ、世界各国に研究開発拠点を持ち、世界中の研究者がコラボレーションしながら研究開発を行っている。日本IBMの執行役員 研究開発担当、久世和資氏は、「研究開発チームは、国や地域にこだわらず、研究者の経験やスキルを生かしながら、産官学連携で製品、サービス、ソリューションを開発することを目的としている」と話す。
たとえば、アイルランドのダブリンにある研究所では、エクサスケールと呼ばれる超高速コンピューティングの研究により、金融業界向けのリスク管理ソリューションを研究している。また、シンガポールの研究所では、渋滞や事故、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目的に最先端の交通情報システムを研究。さらに、米国バージニア州の研究所では、米国農務省と協力することで、カカオの遺伝子配列の研究などが行われている。
こうした研究開発の基盤となるのは「スマートな基礎研究」「スマートな製品開発」「スマートな知的財産」の大きく3つの取り組み。スマートな基礎研究では、GTO(Global Technology Outlook)と呼ばれる経営に直結したロードマップに基づき、社内外の研究者と共にソリューションを共同開発するFOAK(First of A Kind)プロジェクトなどを推進している。
また、スマートな製品開発では、IPD(Integrated Product Development)と呼ばれる世界規模で統合された開発プロセスにより、先進的な製品を開発し、利用を加速させる取り組みを展開。さらに、スマートな知的財産の取り組みにより、特許の取得はもちろん、業界標準団体への貢献や共同開発スキームの開発、戦略的アライアンスの策定など、オープンイノベーションの推進を目指している。
久世氏は、「IBMの研究開発は、全社の経営戦略や営業戦略に展開される。これまでの研究開発は製品開発のためのものだったが、現在の研究開発は社会の問題を解決し、社会に貢献することを目指している」と話している。