日本IBMが研究成果を披露--2010年はSmarter Planet実現の研究推進

山下竜大

2010-02-25 18:39

 日本IBMは2月24日、同社研究開発チームの取り組みに関する説明会を開催。2010年の重点分野として産官学の連携で取り組んでいる「Smarter Planet」の実現について紹介した。

”スマート”な3つの取り組み

 IBMは、神奈川件大和市の大和研究所をはじめ、世界各国に研究開発拠点を持ち、世界中の研究者がコラボレーションしながら研究開発を行っている。日本IBMの執行役員 研究開発担当、久世和資氏は、「研究開発チームは、国や地域にこだわらず、研究者の経験やスキルを生かしながら、産官学連携で製品、サービス、ソリューションを開発することを目的としている」と話す。

日本IBM研究開発チームの取り組みをいきいきと語る久世氏 日本IBM研究開発チームの取り組みをいきいきと語る久世氏

 たとえば、アイルランドのダブリンにある研究所では、エクサスケールと呼ばれる超高速コンピューティングの研究により、金融業界向けのリスク管理ソリューションを研究している。また、シンガポールの研究所では、渋滞や事故、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目的に最先端の交通情報システムを研究。さらに、米国バージニア州の研究所では、米国農務省と協力することで、カカオの遺伝子配列の研究などが行われている。

 こうした研究開発の基盤となるのは「スマートな基礎研究」「スマートな製品開発」「スマートな知的財産」の大きく3つの取り組み。スマートな基礎研究では、GTO(Global Technology Outlook)と呼ばれる経営に直結したロードマップに基づき、社内外の研究者と共にソリューションを共同開発するFOAK(First of A Kind)プロジェクトなどを推進している。

 また、スマートな製品開発では、IPD(Integrated Product Development)と呼ばれる世界規模で統合された開発プロセスにより、先進的な製品を開発し、利用を加速させる取り組みを展開。さらに、スマートな知的財産の取り組みにより、特許の取得はもちろん、業界標準団体への貢献や共同開発スキームの開発、戦略的アライアンスの策定など、オープンイノベーションの推進を目指している。

 久世氏は、「IBMの研究開発は、全社の経営戦略や営業戦略に展開される。これまでの研究開発は製品開発のためのものだったが、現在の研究開発は社会の問題を解決し、社会に貢献することを目指している」と話している。

Smarter Planet実現を目指す日本IBMの研究開発

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. セキュリティ

    Microsoft Copilot for Security--DXをまい進する三井物産が選んだ理由

  5. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]