近鉄百貨店は、独立した複数のシステム上で扱っていた顧客情報と商品情報をデータウェアハウス(DWH)に一元化して全社的な新営業情報システムを2009年6月から稼働させている。日本テラデータが3月5日に発表している。
近鉄百貨店は、複数のデータベースが独立して稼働していて、顧客ニーズに基づいた総合的な商品分析をするための十分な情報基盤がないため、消費者の購買行動の変化に素早く対応できるマーチャンダイジング(MD)を実現するための新しい情報システムの構築が求められていたという。
約2000人が活用している新システムは、顧客情報と商品情報をDWH上に一元化することで、商品情報と顧客情報のクロス分析ができるようになり、より顧客目線に立ったきめ細かい商品計画や営業活動を支援できるという。
近鉄百貨店では、新たに設置されたMD統括本部がTeradataを活用して顧客の年代別や居住地域情報別の購買傾向などを分析し、近畿地方を中心に展開する13店舗それぞれの地域や顧客層にあった商品戦略、顧客サービスを展開している。2014年にあべの橋ターミナルビルの建て替えで増床する阿倍野本店の新装オープンに向けた店舗作りでも、蓄積された分析データを活用していく予定としている。
テラデータのデータウェアハウスと、その上で稼働する流通業界向けソリューション「Retail Template」の全モジュール4つで、新営業情報システムは構築されている。
Retail Template導入で、日報や週報などの報告書や会議資料を全社で共通化して日常的に閲覧可能になることで、全社的な情報活用リテラシの向上や業務の効率化、意思決定の迅速化が実現できたという。また、Retail Templateの個人ポータル機能は、売り上げ推移といった定型情報の表示に加えて、各ユーザーがそれぞれ自分で利用したい、部下に閲覧させたい分析パターンや情報をカスタマイズできる。こうした機能で経営層も現場の従業員も、それぞれ役職や部門に応じて日常業務に必要なデータをPC上でいつでも確認できるようになる。
テラデータは近鉄百貨店に対し、システムを構築するだけでなく、新しい情報基盤を活用するための組織作りや効率的な情報共有、意思決定のための会議のあり方まで踏み込んだコンサルティングを提供して、情報が活用される環境作りと活用されるための情報のあり方の両面から支援したとしている。
Retail Templateは、日本の流通業向けに開発したデータ分析のアプリケーション群。テラデータのハードウェアとデータベース、アプリケーションサーバなどの上で利用できる。共通化できる部分を標準化、モジュール化しているため、導入企業はいちからシステムを設計する必要がなく、業務で求められるデータ分析環境を短期間、低コストで実現できるとしている。
百貨店向けの標準モジュールとしては、個人ポータル、MDテンプレート、顧客テンプレート、クロス分析の4つ。Retail Templateは百貨店向け以外に通販会社向け、量販店向けなどもあり、これまでに8社で導入、活用されている。