Microsoftは、米国時間3月9日に公開したアドバイザリで、MicrosoftのInternet Explorerに存在するゼロデイ(未パッチの)脆弱性を悪用した攻撃が出回っていると警告している。
Microsoftは、スケジュールに従い月例パッチとしてソフトウェアのアップデートを公開したのと同じ日に、IE 6とIE 7のユーザーに対し、遠隔からのコード実行攻撃の危険を警告する、パッチ前アドバイザリを公開した。
このアドバイザリでは、次のように述べられている。
現在までのマイクロソフトの調査で、Microsoft Windows 2000 Service Pack 4上のInternet Explorer 8およびInternet Explorer 5.01 Service Pack 4は影響を受けず、Microsoft Windows 2000 Service Pack 4上のInternet Explorer 6 Service Pack 1、Internet Explorer 6およびInternet Explorer 7は影響を受けることを確認しています。
Internet Explorerで使用されるポインター参照が無効であるため、この脆弱性が存在します。オブジェクトが削除された後でも、特定の状況で、その無効なポインターにアクセスすることができる可能性があります。特別に細工された攻撃では、解放されたオブジェクトにアクセスしようとして、Internet Explorerでリモートでコードが実行される可能性があります。
Microsoftは、この脆弱性を悪用しようとする標的型の攻撃を確認していると述べている。この攻撃に関する詳しい情報は提供されていない。
同社は、同ブラウザの最新バージョンであるInternet Explorer 8は、この脆弱性の影響を受けないと明言している。
問題を緩和する要素として、ほかに次のようなことが挙げられている。
- Windows Vistaおよびそれ以降のWindowsオペレーティングシステム上の保護モードでは、攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合でも、攻撃者が取得するコンピューターでの権限は非常に限定されたものとなるため、脆弱性の影響を制限する手助けとなります。Internet Explorer 6またはInternet Explorer 7で攻撃者によりこの脆弱性が悪用された場合、ローカルユーザーと同じユーザー権限が取得される可能性があります。コンピューターでユーザー権限が低い設定のアカウントを持つ場合は、管理者ユーザー権限で実行しているユーザーよりもこの脆弱性による影響が少ないと考えられます。
- Webベースの攻撃のシナリオでは、攻撃者がこの脆弱性の悪用を意図したWebページが含まれているWebサイトをホストする可能性があります。さらに、侵害されたWebサイトおよびユーザーが提供したコンテンツまたは広告を受け入れる、またはホストしているWebサイトに特別に細工したコンテンツが含まれ、この脆弱性を悪用する可能性があります。しかし、すべての場合において、これらのWebサイトに強制的にユーザーを訪問させることはできません。それに代わり、攻撃者はユーザーを攻撃者のWebサイトに訪問させようとする可能性があります。一般的には、ユーザーに電子メールメッセージまたはインスタントメッセンジャーのメッセージ内のリンクをクリックさせ、攻撃者のWebサイトへ誘導します。
- 既定で、Windows Server 2003上のInternet ExplorerおよびWindows Server 2008上のInternet Explorerは、「セキュリティ強化の構成」と呼ばれる制限されたモードで実行します。このモードはインターネットゾーンのセキュリティレベルを「高」に設定します。これは、Internet Explorerの信頼済みサイトゾーンに追加していないWebサイトに対する「緩和する要素」に該当します。
- 既定で、すべてのサポートされているバージョンのMicrosoft Outlook、Microsoft Outlook ExpressおよびWindowsメールは、HTML形式の電子メールメッセージを制限付きサイトゾーンで開きます。制限付きサイトゾーンは、この脆弱性を悪用し、悪意のあるコードを実行しようとする攻撃のリスクを排除します。制限付きサイトゾーンは、HTML形式の電子メールメッセージの読み取りの際に、アクティブスクリプトおよびActiveXコントロールが使用されないようにすることにより、この脆弱性を悪用しようとする攻撃の緩和に役立ちます。しかし、ユーザーが電子メールメッセージのリンクをクリックすると、Webベースの攻撃シナリオで悪用した脆弱性の影響を受ける可能性があります。Outlook 2007は、HTML形式の電子メールの表示に異なるコンポーネントを使用してるため、この悪用のリスクを排除します。
パッチが提供されるまでの間、IEユーザーはMozilla Firefox、Google Chrome、Operaなどのほかのブラウザに切り替えることを考慮すべきだ。もしどうしてもInternet Explorerを使う必要があるのなら、次の回避策を適用するといいだろう。
- iepeers.dllのアクセス制御リスト (ACL) を変更する。
- インターネットおよびローカルイントラネットセキュリティゾーンの設定を「高」に設定し、これらのゾーンで ActiveXコントロールおよびアクティブスクリプトをブロックする。
- インターネットおよびイントラネットゾーンで、アクティブスクリプトの実行前にダイアログを表示するようにInternet Explorerを構成する、またはアクティブスクリプトを無効にするよう構成する。
- Internet Explorer 6 Service Pack 2またはInternet Explorer 7でDEPを有効にする。
上記の回避策を適用するための手順については、Microsoftのアドバイザリを参照して欲しい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ