「リコージャパン」設立でコンシューマー事業に踏み出すリコーの勝算は?

大河原克行

2010-03-15 09:00

 リコーは、2010年7月1日付けで「リコージャパン株式会社」を設立すると発表した。リコーの販売事業部のほか、国内販売会社7社の「リコー販売」「リコー北海道」「リコー東北」「リコー中部」「リコー関西」「リコー中国」「リコー九州」を合併し、全国1社での販売体制とする。

 新会社では、多様化する顧客ニーズに対応したスピーディーな意思決定を行うことができる販売体制の構築、および経営の効率化を図るのが狙いとしており、地域ごとにハードウェアの付加価値で販売してきたこれまでの体制を一新。全国一気通貫での、ソリューション中心の販売体制へと移行を図る。

近藤史朗氏 リコー社長の近藤史朗氏

 「これまで新たな事業にエース級の社員を投入したいと考えても、地域ごとに分離した別会社となっていたことで、人の配置が難しかった。これがひとつの会社になることで、ダイナミックな配置が可能になる」と、リコー社長の近藤史朗氏は語る。

 社員数は1万3500人、拠点数は約310拠点。これまでのリコーの歴史のなかで、販売会社がひとつの傘の下に入るのは初めてのことだ。2013年度には7000億円の売上げ規模を見込む。

 新会社では「ソリューション・サービス事業」の強化が打ち出されているが、その一方で、顧客ターゲットをこれまでの企業対象から「個人ユーザー」にまで広げることを新たに打ち出した点が見逃せない。企業だけでなく、オフィスで働くすべての顧客、そして一部家庭にまで対象範囲を広げていくというのだ。

 近藤氏は、そのコンセプトを「Customer's Customer Success 〜お客様のお客様にまで届く価値を創出する」という言葉で示す。

 「BtoBだけでなく、顧客の顧客となる“BtoBtoB&C”へと段階的に対象を広げる。法人に加え、個人のお客様までが、リコージャパンの対象範囲となる」(リコー、常務執行役員販売事業部長の畠中健二氏)。

BtoBtoB&C リコーでは、全国の販売会社を1社体制とすると同時に、顧客の対象範囲を「個人」にまで広げていく方針を示した

 リコージャパンでは、コンシューマー事業という柱を立て、全国一本化の体制を生かした形で事業を推進する考えだ。当然、それに伴う販路の拡大にも乗り出すことになる。個人ユーザーにもアプローチできる販社との新たな契約のほか、直販による販路拡大も見込まれる。

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