「同僚の興味や考え方が初めてわかった」
同社では当初、ビジネスコンサルティング部限定でこのソーシャルブックマークを利用していたが、結果が良好だったため、現在では他の部門にも活用を拡げているという。この取り組みについて社内でアンケートを実施し、登録されたニュースやコメントを読んだ感想を聞いたところ、「紹介者のコメントや閲覧者のコメントが役に立つ」「普段は触れ合わない他部署とのアイデア交換やコミュニケーションが有益」と感じている意見が多かったという。
また、ソーシャルブックマークを利用して得られた効果としては、「知らないニュース(ソース)を知ることができた」「同僚の興味や考え方がわかった」というメリットを感じる半面、「ペーパーレスの実現」「調べる手間が省けた」という点については評価が低かったという。
吉川氏は、「毎日顔を合わせている同僚でも、ブックマークを見るまで本当の興味分野や着手しようとしている仕事内容を知らなかったという意見も多く、興味深い結果となった」と分析する。
この取り組みで重要なのがキーワードの集合体としてのメタデータ、つまり「タグ」の存在である。タグを共有することが、結果的にそのタグに興味を持つ関係者を浮き上がらせる役割を果たしている。
キーワードに関わる人材がどの程度存在するのかによってバーチャルなチームの組成が可能になる一方で、同じ記事でも専門領域や立場によって解釈が異なることもあるという。
また、タグは収集した情報を体系化し整理しておくためのキーワードの集合でもある。おおよその「人となり」を明確にし、どんな分野を専門的に追っているか、また普段の業務からは見えてこなかった異なる専門分野や興味のある領域が見えてくるという。

動画共有サービスを使って海外工場との情報共有を実現
もうひとつ吉川氏が紹介したのは、携帯電話用の小型TFT液晶などを製造する日立ディスプレイズの事例だ。
同社は、国内の基幹工場と海外の生産工場間における業務ノウハウの交換や、技能伝承に向けて社内動画共有システムを活用している。新製品開発や試作、組立工程の標準化を国内の基幹工場側で進め、その作業工程を海外の生産ラインに移管する際、組み立て手順を実際にビデオで撮影し、それを海外の工場側に配信することで、製造ライン立ち上げのスピードアップを図っている。