2010年度の企業のIT投資意欲は、過去最低水準に−−。
872社(2010年4月1日現在)のユーザー企業が加盟する社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が発表した「企業IT動向調査2010」の結果は、依然として日本企業のIT投資意欲が回復していないことを示すものとなった。
同調査は、ITユーザー企業のIT動向を把握することを目的に実施しているもので、今年で16回目となる。東証一部上場企業を中心に、4000社に対して調査票を発送。そのうち、IT部門で1026社、経営企画部門で953社の回答を得ている。A4用紙で24ページという膨大な調査票に対して、これだけの数の有効回答を得ているという点で、日本の大手企業のIT動向を掌握する上では、極めて興味深い調査結果だといえる。
これによると、2010年度のIT予算が10%以上増加すると予測した企業は19%。また10%未満の増加とした企業は12%。不変とした企業は33%と3分の1を占めた。これに対して、10%未満減少すると回答した企業は18%、10%以上減少するとした企業は17%に達し、全体の35%を占めた。
「増加する」とした企業の割合から、「減少する」とした企業の割合を引いたDI値では、1994年度の調査開始以来初のマイナスとなる「マイナス4ポイント」となった。
同協会では「これまで毎年増加の一途を辿ってきたIT予算は、2009年度が減少への転換点となっている」と分析している。
だが、いくつかの角度から見てみると、明るい兆しも見え始めている。