マイクロソフトは5月28日、東京港区の東京ミッドタウンホールにおいて「Microsoft Office&SharePoint Conference 2010」を開催した。
同社が5月1日からボリュームライセンスの販売を開始している「Microsoft Office 2010」のほか、「Microsoft SharePoint 2010」「Microsoft Visio 2010」「Microsoft Project 2010」といった製品群のビジネスユーザー向け機能を紹介するとともに、「Microsoft SQL Server 2008 R2」との連携機能なども説明。これらの製品による、業務の効率化と、意思決定のスピードアップを図れることなどを、基調講演や多数のセッションを通じて訴求した。
午前10時30分から行われた基調講演では、マイクロソフト代表執行役社長兼米Microsoftコーポレートバイスプレジデントの樋口泰行氏、米Microsoftコーポレートバイスプレジデント、Officeプロダクトマネジメントグループの沼本健氏が登壇。デモを交えながら、Office 2010の特徴について説明した。
樋口氏は、「クラウドは技術的にも、需要動向を見ても、地に足が着いた形で浸透しはじめている。レガシーシステムを断ち切るために、クラウドを切り口にするという動きも出ている。マイクロソフトは、クラウドに対して戦略的にシフトし、さらにそれを加速するために、社内の人材、リソースにも投資している。マイクロソフトの強みは社内設置型のソフトウェアと回線で提供するサービスとをシームレスに実現する“ソフトウェア+サービス”である」と、改めて同社のクラウドへのコミットについて説明。また、Office 2010についても、「クラウド対応により、ウェブでも携帯電話でも使うことができる。コラボレーション、ソーシャルネットワークでの利用のほか、表現力を高めたい、マルチメディアデータを使いたいといった用途でも活用できる。これらがベストな形でまとまっている」と位置づけた。
一方の沼本氏は、「今回の製品は、全世界860万人、日本からも40万人がベータテストプログラムに参加した。Office 2007のベータプログラムに比べて3倍の人からフィードバックを得たことで、ビジネスまわりを強くすることができる製品に仕上がった」と、その仕上がりに自信を見せる。
また、Forrester Researchによる調査結果をひきつつ「Office 2010製品群を使用することで、ROIは3年間で300%以上に達し、7.4カ月で投資を回収できる。また、オフィスワーカーは、1年間で2週間分もの時間を生み出すことができ、その分、別の仕事ができるようになるという結果も出ている。PC、スマートフォン、ブラウザで最高の操作性、生産性を実現できるのが特徴であり、これから増加するチームでの共同作業にも適したものになる」と説明。そのほか、Office Web Appsによるクラウドへの対応や、オンプレミスとクラウドの併用によるハイブリッド利用も可能となっている点などを強調した。
同氏によれば、日本国内では100社を超える企業が最新Officeの早期導入を発表しているという。早期導入表明企業は大手企業で約20社、中堅中小企業で約80社にのぼり、その中には、ファーストリテイリング、コマツ、日本女子大学、エーザイ、キヤノンファインテックといった企業も含まれる。
また沼本氏は、今年3月にCEOのSteve Ballmer氏が打ち出したクラウドビジネスに関する同社のメッセージ「we're all in.」を引き合いに出し、「これは、丸ごと本気です、という意味」と解説。Windows、Officeを含むマイクロソフトのコアといえる製品をすべてクラウドでも提供していること、データセンターの設置などに23億ドルを投資し、全世界で安定したサービスを行える体制を確立するとともに、同社における全開発者の7割にあたる約3万人をクラウド関連の事業に従事させ、これが2011年の終わりには9割に到達すること、サービスに対する安定運用をコミットメントし、サービスエクセレンスを実現していることなどをその理由にあげた。
最後に樋口氏は、「新バージョンのOfficeにおける互換性の問題については、3社のシステムインテグレーターの協力によって、オフィス導入支援センターを設置している。実際に使用されている6000のファイルを使用して検証を行っっており、その成果を来月から互換性ホワイトペーパーとして提供できる」としたほか、SharePoint 2010では30社のパートナーを通じて製品が販売されることを示した。さらに「Windows 7は発売以来、これまでのOSにはないほどの勢いで導入が進んでいる。Office 2010とWindows 7を組み合わせることで、企業の生産性向上、競争力の強化に貢献できるだろう」と締めくくった。