IDC Japanは6月1日、従業員数10人以上の国内企業789社を対象とした2010年の国内マネージドサービス市場企業ユーザー調査の結果を発表した。マネージドサービスとは、主にネットワークおよびサーバといったIT資産の設定、保守、運用管理を企業より請け負って提供するサービス形態を指す。
これによれば、マネージドサービスのうち「セキュリティサービス」と「ネットワーク運用保守サービス」の2つの利用率が高い傾向にあったという。回答企業のうち「現在、利用している」としたのは、セキュリティサービスで約28%、ネットワーク運用保守サービスで約23.7%を占めている。
今後の利用意向率では、インターネットデータセンター(iDC)サービスの付加価値サービスとしての「バックアップ」および「ストレージ」サービスや、セキュリティサービスの成長が見込まれるという。大企業は、事業継続や内部統制への対応が進んでいるが、中堅中小企業では対策が十分ではない。今後は、社会的要請や取引先からの要求を追い風に、データセンターを基盤としたバックアップおよびストレージサービスなどのマネージドサービスの利用が拡大し、利用予定企業を考慮に入れると、利用率は36.3%まで達するとIDCではみている。
一方、今後1年間の予算増減については、景気低迷の余波が続く状況下で、マネージドサービスの種類によって投資姿勢に違いが見られるという。iDCサービス、セキュリティサービスでは、予算を増加させる企業が減少させる企業を上回っているが、SIソリューションサービス、ネットワーク運用保守サービスでは、予算減少の傾向が強く、より低価格なサービスが求められる傾向にあるとIDCでは分析している。
またマネージドサービスをプロダクトライフサイクルの視点から見た場合、セキュリティサービスおよびネットワーク運用保守サービスは成長期から普及期に位置しており、バックアップおよびストレージや仮想専用ホスティングは成長期にあるという。特に、仮想専用ホスティングは、大企業や中堅中小企業においてポテンシャルが高く、専有ホスティングやコロケーションとの競合や使い分けが今後注目されるという。
IDC Japanコミュニケーションズシニアマーケットアナリストの川上晶子氏は「普及期にあるサービスは、親和性や補完関係が高いものを組み合せて、サービスの商品力を強化することで、他社との差別化を図っていく必要がある。揺籃期にあるサービスでは、認知度の向上と事例による実績の構築が重要だ」とコメントしている。