ドイツの首都ベルリンにて、独IDS Scheer主催の「Process World 2010」が開催されている。2日目となる6月9日の基調講演には、IDS Scheerの親会社Software AGのCEOであるKarl-Heinz Streibich氏が、「ビジネスプロセスエクセレンス(BPE)への変革」と題した基調講演を行い、BPEの重要性について語った。
Streibich氏は、グローバル企業として成功するためには3つの要素が必要だと話す。まず1点目はイノベーションだ。他社との差別化につながるのはもちろんのこと、イノベーションは企業にエネルギーをも与えるとStreibich氏。
2点目はグローバル化だ。ビジネスをグローバル展開することで市場拡大が望めるだけでなく、経済が不安定な時期にリスク分散ができることがその理由で、「Software AGはドイツに本社を置いているが、売上の大半はドイツ以外からのものだ」と説明する。
そして上記2点と同等に重要なのが、Software AGが製品を通じて浸透させようとしている「プロセスエクセレンスだ」とStreibich氏は言う。「単に宣伝するつもりで言っているのではない。技術によって効率化が実現するが、効率化を進めると進化に結びつく。中国を見ればよくわかるだろう。製品がコモディティ化した市場では、効率化を進めることがあらゆるシステムの進化につながる。つまり、どのように物事を進めるか、言い換えるといかにすばらしいプロセスを導入するかが差別化につながるのだ」(Streibich氏)
では、BPEは実際にビジネスにどのようなインパクトがあるのだろうか。Streibich氏は、BPEが「(単なる技術ではなく)ビジネスITへのパラダイムシフトにつながる。また、ビジネスの全体像を見るのがBPEの重要な役割なので、BPEを導入することでERPの導入よりも優れたビジネスの結果が出せるだろう」と述べた。「IDS Scheerとの統合で、Software AGはBPEのライフサイクル全般をカバーするソリューションが提供できるようになった。わが社の最先端テクノロジを持ってすればユーザー企業のリーダーシップを引き出すことができる」(Streibich氏)
Streibich氏は、「BPEはWeb 3.0だ」と主張する。Web 1.0の世界で一方通行だったウェブの世界が、Web 2.0で双方向コミュニケーションに広がった。「次のあるべき姿はコラボレーションだ」とStreibich氏は述べ、「BPEやWeb 3.0はまさにコラボレーションの世界。企業の経営もこの世界では階層的ではなく、従業員全員のアイデアや集合の知によって成り立つようになる。誰もが経営に貢献できるようになるのだ」とした。
最後にStreibich氏は、Software AGのビジョンとして「企業が効率化を進めることで生活水準を上げ、住みやすい世界を作ること」と述べた。それは、「システムを見える化することで銀行システムの安定化を図ることや病院と患者のデータをうまくつなげることなどはもちろん、地球温暖化を阻止することなども含まれる」とStreibich氏。世界中のさまざまな企業にソリューションを提供することが、同社にとってビジョンを達成することにつながるのだ。こうした大きなビジョンを抱えつつ、Software AGは今後もBPEの重要性を訴えていく。