シトリックス・システムズ・ジャパンは6月15日、仮想化基盤の最新版「Citrix XenServer 5.6」の提供を開始したことを発表した。無償版とEnterprise Edition、Platinum Editionのほかに、ラインアップに新しくAdvanced Editionを追加して提供する。
今回ラインアップに追加されたAdvancedは、無償版とEnterpriseの間に位置付けられ、「低コストで高い可用性を備えた仮想環境の運用を希望する企業ユーザーに向いている」(同社リードプロダクトマーケティングマネージャの北瀬公彦氏)という。Advancedの価格はEnterpriseの半分程度としている。
Enterpriseは「イメージの管理や高度な負荷分散機能を希望する企業」に、Platinumは「ディザスタリカバリサイトの構築、テスト・開発・トレーニング環境で効率的な仮想マシン運用を希望する企業」に、それぞれ向いていると北瀬氏は説明している。EnterpriseとPlatinumは従来、「Citrix Essentials for XenServer」として提供されており、今回XenServerのラインアップに統合されている。
今回の5.6では、オープンソースソフトウェア(OSS)の仮想化ソフト「Xen 3.4」を中核に据え、ホストマシンのサポート上限値を増加させている。メモリはホスト当たり256Gバイトまでサポートし、論理プロセッサもホスト当たり64個までサポートしている。ネットワークではホスト当たり16個のNICをサポートしている。サポートするゲストOSは、Windows 7とWindows Server 2008 R2が追加され、LinuxのディストリビューションだとRed Hat Enterprise Linux、CentOS、Oracle Enterprise Linux 5.4、SUSE Linux Enterprise Server 10をサポートしている。
最新版となる5.6では、多くの機能が追加されている。これまでもライブマイグレーション機能「XenMotion」が活用されていたが、今回はより可用性を高めるために「XenServer HA」が搭載されている。XenMotionは、システムの計画メンテナンスで仮想マシンを起動させたまま、別のサーバに移動させるものだが、今回のXenServer HAは、たとえばハードウェアの障害でシステムが停止してしまっても、最小のダウンタイムで別のXenServerを起動させることができるという。
また最新版から搭載されている機能としては「動的メモリ制御(DMC)」がある。これはメモリのオーバーコミットを可能とするものであり、事前に設定された範囲内で、ある仮想マシンが予約しているメモリをほかの仮想マシンへ割り当てることが可能になる。この機能を活用すれば、ホストマシン1台当たりの起動する仮想マシンの数を増やすことができるとしている。
最新版ではロールベースの管理も可能になっている。管理者、XenServerのオペレーター、仮想マシン管理者、仮想マシンの日常的な管理者、仮想マシンのオペレーター、参照だけするユーザーという形で権限を6段階に分けて、それぞれのユーザーを管理できる。ユーザーの行動履歴も記録できるようになっている。
今回の5.6には「ダイナミックワークロードバランシング」という機能も追加されている。これは、どのXenServerで仮想マシンを起動するべきかを推奨してくれるというものであり、ホストマシンのリソース使用率に基づいて、別のホストマシンに仮想マシンを自動的に移行することもできる。ダイナミックワークロードバランシングには「集約モード」と「パフォーマンスモード」の2種類が設定されている。