NECは7月6日、クラウド向けアプリケーションにおける要求、設計、実装、運用の情報を一元的に管理することで、一貫した構築を実現する方式を確立したと発表した。
この方式は、クラウド向けアプリケーションを、開発者の環境において要求に応じて構成を設計し、プロトタイプを作成して動作検証し、実際の動作環境で実行するもの。アプリケーションの開発から実行までの一連のライフサイクルを統合管理し、蓄積する方式により、アプリケーションの実行段階において、設計・開発段階の情報を可視化し、振り返ることが可能になるという。そのため、アプリケーションの構造を確認し、要件に応じたパラメータなどの条件設定の変更ができる。また、蓄積した情報をもとに、アプリケーションの改善や次のアプリケーション設計も容易に行えるという。
あわせて、ユーザーの実現したい機能と、性能や拡張性などの非機能をモデル化し、このモデルを用いたアプリケーション設計方法を開発した。この方法で開発したアプリケーションのプロトタイプの動作は、開発者のローカル環境で行える。これにより、従来は実際のクラウド環境でしか行えなかったアプリケーションの検証や評価を開発者の手元で行えるため、開発効率が向上するという。
今回、NECが確立した開発方式を使うことで、要求通りの性能・可用性・拡張性を持つクラウド向けアプリケーションを効率良く構築できるとする。開発した技術の一部には、NEC、首都大学東京、東京大学が進めてきたサービス設計に関する共同研究の成果が含まれているという。
近年、インターネットサービスにおける急激なユーザーの増加やデータの増大により、これらの情報を扱うウェブアプリケーションの運用において、システムの機能を拡張できるスケール性の高さが求められている。そのため、スケール性の高さを維持しながら、要求に合ったアプリケーションの設計、実装、テスト、実行を迅速に行う方式が必要とされており、今回、NECが確立した開発方式は、そのニーズに応えるものになるという。NECグループでは今年度より、開発した基盤技術の試験利用を開始する予定だ。