水平分業を推し進め、パートナーとの関係を強化する:シマンテック社長

田中好伸(編集部)

2010-07-09 17:58

 「シマンテックは水平分業を推し進め、パートナー企業とのエコシステムを強化していく」――。シマンテックが7月8日に開催した戦略説明会で同社代表取締役社長の河村浩明氏はこのように語り、パートナー企業との関係を強化していくことを打ち出している。

 河村氏は、Hewlett-PackardやIBM、Oracleといった垂直統合型企業と比較してSymantecは水平分業で事業を展開していく企業であると説明。「あるユーザー企業のCIO(最高情報責任者)とお会いしたときに、垂直統合型の企業ばかりではチョイスすることができないと言われた」ことを挙げ、ユーザー企業は“チョイス”を求めていると主張。シマンテックは、システム導入で製品を選べることを指向する企業にとって必要な存在だと強調している。その上で、日本のシマンテックの売り上げのおよそ6〜7割がパートナー企業経由であることを踏まえて、「パートナー企業はエコシステムを求めている」(河村氏)として、これまで以上にパートナー企業との関係を事業の中核に据えていく考えを示している。

河村浩明氏 河村氏は5月18日に社長に就任している

パートナー制度を強化

 そうしたシマンテックでは、今後の重点施策として(1)パートナー企業におけるシマンテックシェアの向上、(2)OEMパートナーへのエンベデッドソリューション、(3)Big Enterpriseにおけるビジネス強化、(4)クラウドサービスプロバイダー(CSP)――の4点を掲げている。

 (1)のシマンテックシェアの向上は、代理店などを中心としたパートナー企業の販売でシマンテックのシェアを向上させようというものだ。具体的には、パートナー企業との間で技術的な意見を交換できるコミュニティを増強、パートナー向けの新しい制度を設けるとしている。

 シマンテックでは従来もパートナー向けに「シマンテック パートナー プログラム(SPP)」(社数は6月末現在で982社、2011年3月末までに1200社にまで増やす計画)を展開しているが、今後のSPPでは新たに「スペシャリゼーション」を加える。今回のスペシャリゼーションは、パートナー企業の差別化や収益向上、ユーザー企業への高い価値の提供を支援するための専門性認定制度になり、スペシャリゼーションを取得したパートナー企業に限定した特典を提供するとしている。

 スペシャリゼーションは、主にセキュリティ製品系とストレージ/データ保護製品系、中堅中小企業(SMB)の3つで展開する。セキュリティ製品系は「Foundational Enterprise Security」、「Endpoint Management」、「Data Loss Prevention」、「IT Compliance」の4つであり、ストレージ/データ保護製品系は「Storage Management」、「Data Protection」、「High Availability」、「Archive and eDiscovery」の4つになる。これら製品系のスペシャリゼーションのうち3つがすでに展開されており、残る5つも2010年内に開始する予定だとしている。年間売上高1000億円以下のSMBスペシャリゼーションは6月末現在83社だが、2011年3月末までに150社まで増やす目標を掲げている。

 また今回のSPP強化では、パートナー企業をレジスターとシルバー、ゴールド、プラチナという4つの段階に分けて、それぞれ段階ごとに投資にメリハリを付けたり、特典を与えたりすることを検討している。具体的な基準や与えられる詳細はこの10〜12月に発表され、2011年4〜6月に新しい基準でのSPPが開始する予定であることを明らかにしている。

 シマンテックではパートナー企業支援施策の一環で、シマンテック製品を理解していたり、技術的知識があることを示す認定制度を展開しているが、今後はその認定者も増やす計画を打ち出している。現在展開している認定制度は“セールス認定者(Symantec Sales Expert:SSE)”と“テクニカル認定者(Symantec Technology Specialist:STS)”の2つ。6月末現在、SSEが1720人、STSが337人だが、2011年3月末までにSSEを2400人、STSを600人まで増やす計画である。

OEMのエンベデッド

 シマンテックの今後の重点施策である(2)のOEMパートナーへのエンベデッドソリューションは、先日発表された「Symantec FileStore」を富士通ハードウェアに搭載して提供するのと同じように、シマンテック製品を部品にして、それぞれのOEM企業が製品として提供するというものだ。データセンター向けにはFileStoreのほかに、ストレージ仮想化ソリューションとして「Symantec Foundation」を、アーカイブ&統合バックアップソリューションとして「Enterprise Vault & NetBackup」をそれぞれ提供する。

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