デルは7月16日、東京港区のザ・リッツ・カールトン東京で「Dell Efficient Enterprise Tour」と題したプライベートイベントを開催した。
「Efficient Enterprise」は、企業におけるIT投資の「効率化」を戦略的に実現していくことを目指した同社のコンセプト。同イベントにおいて、デル代表取締役社長のJim Merritt氏は「Efficient Enterpriseを実現するデルのソリューションサービス戦略」と題して基調講演を行い、同社がITの効率化に対してどのようなスタンスで臨み、実際の効果を上げているかについて披露した。
Merritt氏によれば、デルではITの効率性を実現するに当たって特に「3つの領域」に集中するという。
ひとつ目は「労働環境の変化」だ。これには、Web 2.0のムーブメントやモビリティ、コンシューマライゼーション、さらには「デスクトップがユーザーを追いかける」新たな環境である仮想化デスクトップといった変化が含まれるという。いわば「クライアント」の領域だ。
ふたつ目は、「統合と仮想化」である。多くの企業にとってスペースの限られる「データセンター」において、効率を高めるための方策となる。
みっつ目は「クラウドコンピューティング」の領域だ。ビジネスで必要となるITリソースやアプリケーションをオンデマンドで供給し、なおかつその仕組みを自動化するクラウドコンピューティングを活用することで、「IT環境は大きく改善する」という。
これら3つの領域で、どのように効率性を高めていくかを考えるにあたって、Merritt氏は最初のステップとして「現在のIT維持コストを検証する」ことを勧めた。
「年間にグローバルで行われるIT投資、約1兆2000億ドルのうち、現状のIT環境を維持するためのコストとして8割が費やされている。目標は、企業を強化するための戦略的な投資として5割、維持コストに5割の“50対50”に、この比率を変化させていくことだ。そのためには、現在、保守に対してどの程度のIT予算を使っているかを知る必要がある」(Merritt氏)
保守のためのITコストを検討する際に重要なのは、「人件費」と「インフラコスト」であるという。例えば、データセンターの維持管理コストを考える場合、設備、ネットワーク、ソフトウェア、ハードウェアといったインフラコストと、サポートやオペレーション、導入や計画といった人手の必要な作業にかかる人件費とを分けて考える必要があるという。
Merritt氏は「IT関係の効率性を高めるためには、これらを大局的にとらえることが重要。多くの場合において、保守運用のためのコストの約半分は人件費が占めている」という。人件費の削減にあたっては、IT業務のプロセス革新や労働生産性を向上するためのアウトソーシングが有用であり、一方でインフラコストの削減にあたっては、より新しくエネルギー効率の高い機器を導入することで、運用コストと人件費の低減にもつながるという見方を示した。