モバイルアプリケーションの利用シナリオでは、クラウドからの提供も想定しているだろう。モバイル向けかどうかにかかわらず、SAPはクラウド(オンデマンド)分野にどのように取り組んでいるのか?
従来のITシステムは、ERPやCRM、インダストリソリューション、データウェアハウスを使い、NetWeaverも使ってまとめていた。ベースとなるコアのアプリケーションが多数存在するイメージだ。
この大きなトランザクションを拡張する新しいアプリケーションの開発では、オンデマンドが適切な選択肢となる。SAPは新たなオンデマンドプラットフォームを開発しているが、それもこうしたアプリケーション向けのものとなる。
たとえば、SaaSとして提供しているCarbon Impactは、基幹システムから業務データを引用し、二酸化炭素(CO2)排出量を可視化している。
現在のCIOは、より多数のエンドユーザーにリーチしたいと考えている。こういったかたちでアプリケーションを提供できれば、すぐにユーザーに価値を提供できるだろう。また、大きなITプロジェクトを立ち上げなくてもすむ。
福田譲氏(SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長 ):今後、法整備が進むと、ある程度の規模の会社であれば、CO2削減のノルマとも言える規制が出てくるだろう。では、CO2の元となっているものをどう作ったか、どう運んだか――そういった情報は全て基幹システムの中にある。では、同じ機能を求めているのに、いちいちCO2のためにシステムを作るか? いや、これこそSaaSとして提供したらよいのではないか、という考えで開発したものだ。