創業当初から「No Software」というスローガンを打ち出し、ソフトウェア業界の巨人Microsoftを敵対視していたSalesforce.com。クラウドプラットフォームであるForce.comは、クラウド上でのアプリケーション開発を可能にし、ソフトウェアの世界でMicrosoftが実現していたことがクラウド上でも実現できると示したサービスでもある。
こうして常にMicrosoftをライバルとして意識していたSalesforce.comだが、急成長を遂げたSalesforce.comにとってMicrosoftはいまどのような存在なのか。そしてSalesforce.comは今後どのように発展していくのか。Salesforce.com 最高マーケティング責任者(CMO)のKendall Collins氏に聞いた。
--CEOのMarc Benioff氏は、常にMicrosoftをライバル視した発言を繰り返していたが、いまでもSalesforce.comはMicrosoftを一番の競合と考えているのか。また、Salesforce.comがMicrosoftより勝っているのはどのような点か。
Salesforce.comはいまでも「No Software」を主張している。つまり、ユーザーがソフトウェアを所有する必要はないと考えているため、世界一のソフトウェア企業であるMicrosoftとの戦いは今も続いている。
われわれのビジネスは、セールスクラウド、サービスクラウド、データクラウド、コラボレーション、そしてForce.comによるクラウド上での開発環境の提供だ。これらすべての分野でMicrosoftを上回っている。セールスクラウドとサービスクラウド分野については、GartnerがSalesforce.comをリーダーと位置づけている。データクラウドに関しては、現時点でMicrosoftは提供しておらず、われわれの顧客でさえある。
Force.comとWindows Azureを比べてもForce.comが優勢なのは明らかだ。Force.comは、サービスプラットフォームとして一番成功しているとGartnerが認めているだけでなく、すでに10万以上のアプリケーションが開発されているという事実もあり、ユーザーからも認められているのだ。
コラボレーション分野では、Salesforce ChatterでSharePointのずっと先を行くサービスを開始した。Stratus TechnologiesがSharePointからChatterに移行したという事例があるが、このようなケースはもっと増えるだろう。
SharePointはすでにさびれたテクノロジだ。いまやユーザーはコラボレーションに別のレベルを求めている。Microsoftは、SharePointをiPhone上で動かすことも考えていないのだ。ユーザーに一番人気のあるデバイス上で製品が動かないとなると、勝てるはずがない。彼らは自分たちのソフトウェアやハードウェアパートナーの型にはめられすぎている。ユーザーのニーズがどこにあるのか、ユーザーがどこに向かっているのかを見ていないのだ。これだけ多くの人がiPhoneを使っているのに、そのデバイス上で製品を動かそうと思わないなんて、彼らは戦う前から負けている。
(編集部注: iPhone上でSharePointを利用するためのサードパーティーアプリとしては、Spyk Softwareの「iShare」、リアルコムの「iPhoneアプリ for SharePoint」などが存在する。)