SAS Instituteは10月26〜28日の3日間に渡り、Las Vegasで“The Premier Business Leadership Series”と題するイベントを開催した。会場内で、SASの創業者で現在もCEOを務めるJim Goodnight氏に話を聞いた。
不況下で注目されるビジネスアナリティクス
企業は現在、困難な経済状況に立ち向かい、苦闘を続けている。こういう時期こそ、Business Analytics(BA)に取り組むべき時だろう。
たとえばマーケティングキャンペーンでは、BAを使うことで対象とすべき適切な顧客を選び出すことができる。どの顧客が企業に利益をもたらしているのかを判断できる。また、最適化技術を活用すれば、ビジネスの遂行に要するコストを削減することも可能だ。それ以外にもBAによって企業はさまざまなメリットを享受できるが、事業が上手くいっている時期には企業はあまり事業の先行きについて心配することもなく、BAのような分野に関心を持つこともあまりないものだ。
技術動向
SASは現在多くの分析をほぼリアルタイムで行なっている。たとえば、アジア第2位の銀行であるHSBCでは、SASのソリューションを使ってクレジットカードのトランザクションをリアルタイムで分析している。
また、SASの取り組みには“in-Database”というものもある。この場合、各々のデータベースノードを監視対象とし、データベースに入出力されるすべてのレコードをスコアリングしていく。データベースのノードの数に応じて大規模な並列処理が実行されることになるので、リアルタイムのスコアリング処理がより高速に完了することになる。
SASではより一層の高速化に取り組んでいるが、in-Databaseのような手法では、データを巨大なデータベースに集約した後、単一の経路を通じてデータにアクセスする場合に比べて大幅な性能向上が可能になる。
HPC分野では、HPのブレードサーバをプラットフォームとして取り組んでいる。SASでは、この特別なハードウェアに合わせてソフトウェアを最適化し、カスタマイズやチューニングすることで、同様の構成の他のハードウェア上で実行した場合以上のパフォーマンスを達成している。
現在、このシステムはSAS社内に設置され、ホスティングサービスのためのプラットフォームとして活用されている。もちろん、カスタマーがこのシステムを自社で運用したいと望むのであれば、ハードウェア構成についてSASがレコメンデーションすることは可能だ。
最も重要なことは、顧客が何を望んでいるかを正しく理解することだ。現在はコンピュータの処理能力が急速に向上しており、ほんの数カ月前には想像もできなかったような高度な解析が実現できるようになったりもする。SASのコアである解析エンジンの能力と合わせ、顧客のアイデア次第でさまざまな新しいBAの活用例が生まれてくるだろう。