#8:失敗にフタをせず、さらしてみる
いくら効率が大事だといっても、最初に思いついたアイデア1つだけを、軸の太い仕事にしていくことは難しい。試行錯誤し、可能性を探り、何度もテストし、さらにさまざまな人に意見を求めることで多くのアイデアを出していき、その中から最良のものが世に出て行く。
これを逆に考えれば、世の中に出るものの下には、100の「ボツ」が眠っているといえるだろう。しかし、これを単純に「死屍累々」と見るのは間違いだ。実は、「ボツ」の存在こそが、訴求力の源となる思考プロセスにとって重要だからだ。
人は失敗する。そして失敗にはすべて原因がある。それを振り返ることで、自分の弱点やこれからの指針が見えてくる。つまり、失敗は貴重な経験であり、今後、自分が成長するために張る「根っこ」だといえる。この根っこが太く広がるほど、それが土台となって、アイデアを生み出す思考プロセスが鍛えられ、コミュニケーションの能力も高まっていく。だから失敗は封印せず、あえて自分の中でさらしてしまうべきなのである。
#9:ダメ出しして、ほめる(ただし愛ゆえに)
コミュニケーションを深め、さらに良いセッションを目指すためには、相手との距離を縮めることが必要だ。そのためには、きれいごとばかりはいっていられない。締めるところは締め、緩めるところは緩める、メリハリが大切になる。
特に部下や対等な取引相手に対して、こちらの意図が伝わっていないのであれば、今後のことを考えて、そのまま流さず、ちゃんと「ダメ出し」しなくてはならない。ただし、良い仕事をするためにダメを出すわけだから、感情に任せては意味がない。
また、「ダメ出し」と「ほめる」ことは一対だということも忘れてはならない。素晴らしい成果を上げたときには、きちんと感謝の気持ちを伝えることも大切だ。ともあれ、「ダメ出し」にしても「ほめる」にしても、そこに「互いに良い仕事をしていこう」という気持ち、つまり「愛」があることが、最も重要なのだ。
#10:温めたアイデアは孵化させる
「いつか○○○してみたい」という人に限って、今までしてみたいと思ったことを実行していなかったりする。自分から行動を起こさなければ、待っていたところで、誰もそれを実現してはくれない。白馬の王子様が迎えに来て、自分の夢を実現してくれるなんて、おとぎ話の世界だけだ。
アイデアも同じ。どんなに優れたアイデアも温めているだけではダメで、それを孵化させ実現しなければ、宝の持ち腐れだ。実現するためには、具体的な行動が必要になる。具体的に計画し、検証し、提案し、意見を聞く。ときにそれは寄り道になることもあるが、それは自分への投資だと考えればいい。投資の分だけコミュニケーションの力も高まっていく。自分への投資は、経験となって必ず返ってくるものだ。