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SAPのクラウド戦略:Business ByDesignのPaaS化が進展

末岡洋子

2011-06-10 16:00

 SAPが、クラウドへ本格的に取り組み始めたのは、CEOを交代して共同CEO体制になった頃からだ。その時期からクラウドを、「必要に迫られて提供するサービス」から「戦略的なサービス」と明確に位置づけている。

 SAPが5月に米オーランドで開催した「SAPPHIRE Now 2011」で、同社オンデマンド担当のSven Denecken氏に、クラウド戦略の柱となるSaaS「Business ByDesign」、プラットフォーム戦略、オンプレミスとオンデバイスとの関係について話を聞いた。

 なお、SAPは「クラウド」という用語をあまり使わず、もっぱら「オンデマンド」と言う。本稿はインタビューであるため、Denecken氏が「オンデマンド」と言った場合はそのまま記載しているが、おおよそ同じ意味だと考えていいだろう。

ハイブリッド環境は「かなり長くつづく」

なぜSAPはクラウドではなくオンデマンドと言うのか?と聞くと、「クラウドはIaaS、PaaS、SaaSと広義に使われるから」とDenecken氏(写真提供:SAP) なぜSAPはクラウドではなくオンデマンドと言うのか?と聞くと、「クラウドはIaaS、PaaS、SaaSと広義に使われるから」とDenecken氏(写真提供:SAP)

--Business ByDesignは当初、10〜500人規模を対象にしていましたが、どのような企業が導入しているのでしょうか?

 Business ByDesignは、財務、サプライチェーン管理、CRMなどを含む包括的なスイートです。2010年第4四半期にドイツなど7カ国で提供を開始しました。2011年は1000社の獲得を目標としていますが、すでに500社を獲得しており、好調に推移しています。

 Business ByDesignではまず、(オンプレミスを導入している)既存顧客の子会社に提案しています。Business SuiteとBusiness ByDesignは、機能や所有形態こそ異なりますが、技術的DNAは同じなので、接続や連携が容易なのです。本社はBusiness Suiteを、子会社はBusiness ByDesignを導入するという2層のERPアプローチです。統合により、データやプロセスをさらに効果的に活用できます。

 同時に、スタンドアロンで導入する新規顧客にも売り込んでいます。これはパートナー経由の販売チャネルとなります。

--Business ByDesignの提供に対する、既存のサービスパートナーの反応はどうでしょうか?

 オンデマンドとオンプレミスは共存の関係にあり、我々はハイブリッド環境は長く続くと見ています。同時に、懸念を抱くパートナーがいることも理解しています。

 オンデマンドの特徴は設定作業が少ないことで、これは顧客が求めているソリューションです。しかし、パートナーにとっては提供するサービスが少ないことを意味します。SAPのようなソフトウェアベンダーが市場のニーズに合わせて変わったように、サービスパートナーの世界も変わっていくかもしれません。一方で、Business ByDesignはプラットフォームでもあり、この上に拡張機能を開発するなど新しい役割も生まれています。

--将来、オンプレミスとオンデマンドの比率はどうなっていると考えますか?

 ハイブリッド環境は、かなり長くつづくと思います。企業のプロセスの中には重要度が高いものがあり、そこは今後もオンプレミスで持っておきたいと考えているはずです。

 今後、クラウドとホスティングがどのようにオンプレミスと連携するか。それはまだ始まったばかりです。SAPもさまざまなシナリオの可能性を見ているところです。

 今の企業は、クラウドをソフトウェアのテストなどに利用し、中核となるシステムはインハウスで持っています。SaaSには、高速な実装、アジリティ(俊敏性)の獲得、低い実装コストなどのメリットがあり、企業もこれらのメリットを認めています。結果として、ビジネスプロセスはリアルなSaaSモデルに移動しつつあります。SaaSは単なるトレンドから、ビジネスを変革(トランスフォーム)するものになりました。

 今後、ビジネスプロセスは、オンプレミス、オンデマンド、オンデバイス(モバイル)をまたぐものが増えてくるでしょう。SAPはここで非常に優位なポジションにあります。SAPは3つの層を持ち、ミッションクリティカルの性質や、プロセスの一貫性と統合を深く理解しています。営業管理システムが動かなくなった場合と、サプライチェーン管理が動かなくなった場合では、深刻度が異なるのです。

 たとえば、Business ByDesignは業界一のBusiness Suiteのナレッジを取り出して、SAPのプライベートクラウドで動かしています。非常に堅牢なプラットフォームであり、SAPはソフトウェア事業ではなく、サービス事業として展開しています。どの市場でいつ提供するのかも、綿密にプランニングしています。サービス事業の観点から、市場の準備が整っているかどうかを入念に調べてローンチしています。

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