この梅雨を超えれば、いよいよ夏がやってくる。電力需要がピークを迎えるのを前に、企業の停電対策、節電意識への高まりは、急速な勢いで進展している。
スーパークールビズの採用や、輪番停電に対応した土日出社、電力消費量削減のために始業を早めるなど、就業時間のシフトといった動きも見られる。
節電の意識変化が急速に進む
実際、節電に対する意識が広く浸透していることは調査結果からもわかる。
ブラザー販売が2011年4月に実施した調査では、「コスト削減・節電・節約」を意識している小規模事業者は、関東で91.0%、中部や関西でもそれぞれ86.5%、90.0%と、高い意識を持っていることが明らかになった。調査が中部電力浜岡原子力発電所の全面停止前に行われたことを考慮すれば、中部地区での節電意識は調査後に高まっている可能性もある。
また、東日本大震災以降、節電などの意識が高まったと回答した企業は関東では65.5%に達しており、意識変化が急速に進んだこともわかる。
さらに同調査では「どのようなオフィス機器を見直せば節電につながるか」といった質問もしているが、ここではPCが最も多く34.3%を占め、続いて大型複写機の29.3%、プリンタの14.8%と続いている。PCの節電が、全体の節電につながるという意識が強いことを示している。
オフィスの3大消費電力源、空調、照明、OA機器
実際、PCの節電効果は大きいといえよう。
資源エネルギー庁の推計によると、平均的なオフィスにおける用途別電力消費比率では、空調が全体の48%を占め、次いで照明の24%となるが、3番目にOA機器の16%となる。OA機器の中心となるのはやはりPCだ。
日本マイクロソフトによると、東京電力管内のPCは約2455万台に達し、通常の使用状態では120万kWの電力が使用されていると試算できるという。これは火力発電所1基分の発電量に匹敵することになる。仮に東京電力管内のPCを、節電に配慮した設定に変更するだけで、約35万kWの削減が可能になるという。