ENEOS グローブ、BCPの一環でデスクトップ仮想化を導入--XenDesktopとHyper-Vで実現

富永恭子 (ロビンソン)

2011-06-13 16:06

 LPガス元売り大手のENEOS グローブは、「Citrix XenDesktop」および「Microsoft Windows Server 2008 R2 Hyper-V」によるデスクトップ仮想化ソリューションを導入した。これにより、BCP(事業継続計画)の基盤を確立するとともに、企業統合の円滑化や運用負荷の軽減を実現したとしている。6月13日にシトリックス・システムズ・ジャパン(シトリックス)が発表した。

 ENEOS グローブは、JX日鉱日石エネルギーのLPガス事業と、三井丸紅液化ガスの統合により、3月1日に誕生した。同社が、デスクトップ仮想化の導入検討を開始したのは、三井丸紅液化ガスとして事業を行っていた2010年の春ごろだったという。パンデミックや大規模災害が発生し、社員が出社できない状況であってもビジネスを継続できる環境の実現を目指したという。そこで、社外からの柔軟なアクセスの提供と、データを持ち出せない安全性の確保を両立する「デスクトップ仮想化ソリューション」に着目した。

 XenDesktopの採用にあたっては、WAN経由で全国の拠点からアクセスするユーザーのパフォーマンスを他のサービスとの比較した結果、シトリックス独自の通信プロトコルである「Citrix ICA」の性能の高さが評価されたという。また、無償の「Citrix Receiver」により、ノートPCなどのファットクライアントやシンクライアント、タブレット型端末など、さまざまなクライアントやOS環境から仮想デスクトップにアクセスが可能であることも、選定のポイントとなったとしている。さらに、XenDesktopの管理コンソールを用い、マスターとなるOSイメージを用意するだけで、複数の仮想デスクトップをすぐに一斉展開できる点なども高く評価されたという。

 一方、Hyper-Vの採用については、仮想デスクトップOS用のハイパーバイザとして、すでにクライアントOSとして新規導入が決定していた「Windows 7」と親和性が高いこと、今まで培ってきたWindowsの運用スキルを無駄にせず、Microsoft System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)による運用管理が可能なことなどが評価されたとしている。

 同社では、2010年10月にXenDesktopの採用を決定し、2010年11月に具体的な設計作業に着手。2月末までの4カ月という短期間で、検証、構築などを含むすべての作業を完了したという。具体的には4台の物理サーバ上にHyper-Vによる仮想環境を構築。うち3台の物理サーバ上で130台分のWindows 7を仮想デスクトップとして稼働させている。システム構築は、日本オフィス・システムが担当した。

 今回のデスクトップ仮想化ソリューションの導入により、ENEOS グローブでは、3 月11日に発生した東日本大震災による計画停電で交通機関の運行が乱れた際、一部社員の出社が不可能となったが、自宅の個人PCから会社のデスクトップ環境にアクセスし、必要な業務を行うことができたという。

 また、ENEOS グローブが発足する際も、統合による従業員の増加に対して、クライアント端末を人数分用意するだけで、OSやアプリケーションの端末へのインストール作業を行わず、クライアント環境の迅速な展開を実現したとしている。そのほか、社員の出向時や人事異動への対応も容易になったほか、運用管理負荷も軽減されたという。

 ENEOS グローブでは、今後さらに仮想デスクトップ環境の導入を拡大し、BCPの基盤をさらに拡充させる予定だ。また、デスクトップ環境をサーバ側に集約することにより、大幅な省電力化も目指す。

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