クラウドOSを手がける米国のベンチャー、Nimbulaが日本市場に参入した。同社は、Amazon.comのパブリッククラウドサービス「Amazon EC2」を開発し、世に送り出した人々によって設立された企業だ。
このたび来日した同社CEOのChris Pinkham氏に日本での事業展開について訊いた。
Amazon EC2からクラウドOSへ
Pinkham氏はかつてAmazon.comに在籍、データセンター、サーバ、ネットワークなどITインフラ全般に関して責任を持つ立場にあった。なかでも、Amazon EC2の構想と開発にあたったことで知られている。
Pinkham氏はAmazon EC2を開発した動機を、「クラウドはセルフサービス型アプリケーション管理ができる能力を求められるようになり、IT資源の大規模な共用化プールに、多数の企業が容易にアクセスできる環境が必要になるだろうと考えたから」と振り返る。こうした経験を持つPinkham氏が今後目指すものは、クラウドOSの提供だ。
NimbulaのクラウドOSである「Nimbula Director」は、Amazon EC2型のクラウド基盤をユーザー企業やクラウド事業者が自社内で構築、管理、運用するのを支援するソリューション。日本国内では、ネットワールドが販売とサポートを担う。
「Nimbula Directorを活用すれば、データセンターの運用者、一般企業、サービスプロバイダーなどは柔軟性が高くなり、コストを抑制しながら新たなアプリケーションをすばやく展開し、イノベーションが加速するだろう。また、システム自動化の進展で生産性向上が実現し、インフラ管理コストを抑制できるとともに、管理者の手が空いて新サービスに時間と労力を割けるなどのメリットも生じる」と、Pinkham氏は話す。
Amazon EC2の思想をさらに発展、強化させる
Nimbula Directorのような製品が登場した背景には「アプリケーション開発の分野が変わってきていること」(Pinkham氏)が背景にある。構築の手法が進化し、従来とは異なるインフラが求められており、いっそうの俊敏性が要求される。そこで同社は「パブリッククラウドのインスタンス化にはAmazon EC2が最適だが、NimbulaはAmazon EC2と同等の柔軟性を実現しながら、さらにコストを下げたインフラを実現する」(同)ことを目指す。
追加的な要素としては「複数のユーザー、データセンター、地域にまたがってサービス提供するフェデレーションサービスや、ベースとなるインフラの自動化など」(同)を考えているという。
Nimbula Directorは「エンドユーザーが、幅広いサービスを、多様な場所で利用することを可能にする。顧客のさまざまなサービス、サーバ、インフラの管理を自動化し、提供しているAPIにより、Amazon EC2の思想をさらに発展、強化させることを図る製品といえる。セルフサービスでアプリケーションの登録を管理できる。また、ソフトのインストール、アップデートの自動化、複数のNimbula環境の統合、パブリッククラウドとNimbula環境の統合も可能になる。マルチテナントにも対応しており、パーティション機能によるテナント間の分離も可能で、各々がセキュアな形式での統合が実現する」(同)という。
Nimbula Directorの価格体型には「core」という単位を用いる。物理マシン数や物理プロセッサ、物理コア数、インストールするノード数、あるいは仮想マシン単位での課金ではなく、利用量に応じた年間使用料で課金する方式だという。また、この課金体系では、40coreまで無償で利用可能だ。