東京電力および東北電力管内で、企業や家庭において15%の電力削減目標が義務化されるなか、富士通がユーザー向けセミナーを6月30日、東京・浜松町の富士通トラステッド・クラウド・スクエアにおいて開催した。
テーマは「あなたのオフィスをエコにします~この夏を乗り切る節電対策~」。セミナーでは基調講演として、富士通総研 第二コンサルティング本部 環境事業部シニアコンサルタントの佐々木保明氏が「グリーンICTと節電への取り組み」をテーマに講演。富士通における節電への取り組みや、効果的な節電対策について触れた。
節電でもPDCAが重要
ICT関連の節電対応の基本的な考え方として、「固定電力の削減、電力のシフト、突然電力の抑制の3点をうまくコントロールすることが、節電を実行する上での大きなファクター。まずは電力使用量を計測、収集することが必要である」として、企業全体の電力使用量の把握、オフィスや工場、事業所の電力使用量の把握、ICTの電力使用量の見える化が必要とする。
また、「オフィスビルの電力消費量のうち、32%がコンセントからの消費。また、空調を除いた電力使用量からみれば、PCは全体の29%を占めている。ICTインフラの節電では、サーバルームやデータセンターファシリティの節電、アウトソーシングの利用、省エネルギーなICT機器の利用、サーバの台数削減、サーバの自動起動および停止による運用の効率化などが必要」とした。
さらに、「法的義務の有無に関わらず、自社の節電責務を果たすためには、自社の昨年度のピーク電力および削減目標値を確認すること、現在の使用電力モニタリングの仕組みを構築すること、節電施策の立案および効果を確認し、実施手順や体制を整備することが必要」と語った。
富士通がサポートする節電対策には、センサーを活用した計測によって、電力使用状況を「見える化」できる節電・省エネ対策がある。その施策の立案、実行、効果検証までのトータルサービスに加え、中長期的な節電対策に取り組めるように、省エネ診断・改善支援サービス、環境計測構築サービス、環境経営コンサルティングサービスなどを用意している。
また、富士通が電力使用量30%削減を達成した成果をもとに制作した節電セルフチェックリストを無償で提供している。「節電セルフチェックリストは、単に今年の夏を乗り切るための節電だけでなく、2012年度への備えや、2012年度以降のエネルギーのムダ、ムラ、ムリを排除し、成長につなげるものとして利用できる」とした。さらに富士通総研でも、環境経営診断簡易サービスを提供、環境経営の取り組みレベルを診断できるという。
資産管理ツールで省エネ設定
一方、Systemwalker Desktopシリーズを活用した節電対策について、富士通 ミドルウェア事業本部商品企画室ビジネス開拓部・道下光則氏が説明した。
Systemwalker Desktop Patrol V14gでは、各PCの省電力設定を促す警告を表示し、利用者に改善を促すほか、利用者がポリシーに準拠していない設定をしている場合には、統制機能を活用して管理者が一括設定を行うことができる機能などを持つ。また、帰宅する際などにも、消し忘れやウイルススキャンのために電源を入れたままにしているPCに関しても、指定時間にスタンバイまたは休止状態に移行するような統制が可能になるという。
さらに、Systemwalker Desktopシリーズにおいては、富士ゼロックスと協業して節電に取り組んでいることも紹介した。