労働基準監督署が疑いを持てば、パソコンの使用状況を調べて、申告している労働時間と実態とのギャップを調査することもあるのです。この点について、大手企業の一部は大変神経質になっています。
--なるほど。モバイルや在宅勤務で効率アップというのは、少なくとも国内ではまだ幻想ですね……。さて、調査結果ですが、BCPやDRへの期待もさほど高くありません
クラウドを用いたBCPやDRは、相当に高度な技術力が必要になります。すぐにできることでもありません。これまでとはまったく異なった考え方になるので、なかなか取り掛かれないようです。
--「クラウド導入に対する課題・不安」としては、「情報漏えい・セキュリティへの対策」が19.2%で、最も多い回答でした
データを社外へ出す、出さないということへの反応は、震災の影響もあって変わってきています。しかし、企業は結局、自社のクラウドに限らずセキュリティへの要求があり、その充足度でさまざまな採否を判断しています。自社のセキュリティ要求仕様を明文化できる企業は少なく、曖昧にしているところが多いようです。
実際にクラウドを導入しようと検討を始めても、当該のクラウドが自社のセキュリティ要求に適合しているのかどうかといった判断ができず、不安感を払拭できない。そうなると、導入には踏み切れないわけです。
すでにクラウドを利用している企業は、ベンダーに疑問点などを尋ね、納得してから採用を決めています。また、ごく少数ですが、実際にデータセンターに足を運び、自分の目で見て確認する企業もあるほどです。しかし、一方では、ある程度のリスクには目をつぶっているところもあります。
--そこまで厳格にクラウドを見極めようとする企業は、コスト削減を導入の第一義としているのですか
いえ、ビジネスのスピード向上やグローバル展開などのポジティブな目的への志向が多いですね。今後、クラウドはコスト抑制よりも、ビジネス貢献のために活用すべきでしょう。
(後編に続く)