クラウドはコスト削減よりビジネス貢献に活用すべし--ITR 甲元氏 - (page 2)

聞き手:冨田秀継、文・構成:大川淳

2011-07-05 17:56

 労働基準監督署が疑いを持てば、パソコンの使用状況を調べて、申告している労働時間と実態とのギャップを調査することもあるのです。この点について、大手企業の一部は大変神経質になっています。

--なるほど。モバイルや在宅勤務で効率アップというのは、少なくとも国内ではまだ幻想ですね……。さて、調査結果ですが、BCPやDRへの期待もさほど高くありません

 クラウドを用いたBCPやDRは、相当に高度な技術力が必要になります。すぐにできることでもありません。これまでとはまったく異なった考え方になるので、なかなか取り掛かれないようです。

--「クラウド導入に対する課題・不安」としては、「情報漏えい・セキュリティへの対策」が19.2%で、最も多い回答でした

 データを社外へ出す、出さないということへの反応は、震災の影響もあって変わってきています。しかし、企業は結局、自社のクラウドに限らずセキュリティへの要求があり、その充足度でさまざまな採否を判断しています。自社のセキュリティ要求仕様を明文化できる企業は少なく、曖昧にしているところが多いようです。

 実際にクラウドを導入しようと検討を始めても、当該のクラウドが自社のセキュリティ要求に適合しているのかどうかといった判断ができず、不安感を払拭できない。そうなると、導入には踏み切れないわけです。

 すでにクラウドを利用している企業は、ベンダーに疑問点などを尋ね、納得してから採用を決めています。また、ごく少数ですが、実際にデータセンターに足を運び、自分の目で見て確認する企業もあるほどです。しかし、一方では、ある程度のリスクには目をつぶっているところもあります。

--そこまで厳格にクラウドを見極めようとする企業は、コスト削減を導入の第一義としているのですか

 いえ、ビジネスのスピード向上やグローバル展開などのポジティブな目的への志向が多いですね。今後、クラウドはコスト抑制よりも、ビジネス貢献のために活用すべきでしょう。

(後編に続く)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]