Information Stewardの特長のひとつは、業務部門のユーザーにも利用権限を与えることで、業務部門とIT部門とのギャップを埋める「強調型ソリューション」である点だという。加えて、データ管理のプロセスを目に見える形で定義することでデータガバナンスを維持し、データ品質レベルとデータ発生源の可視性を向上させるといったメリットがあるとする。Information Stewardの代表的な機能は「データプロファイリング」「データ品質監視」「メタデータ分析」の3つだ。
データプロファイリング機能では、企業内に存在するデータが、ビジネス上の定義や予測と適合しているかどうかを分析できる。例えば、「電話番号はこのような形式でデータ化されている“はず”」という、ユーザー側の予測と、実際のデータ状況のギャップを知ることができる。実際に、“あるべき姿”と実際のデータにギャップがあることが判明した場合は、Information Steward上でクレンジングのルールを設定し、ELTツールに反映させることができるという。
データ品質監視機能では、バランストスコアカードの考え方を使って、データ品質のパフォーマンスを評価できる。評価用ルールを作成して、対象データの品質をスコアリングし、継続的な追跡を行うことで、例えばデータ品質改善の取り組みがどのくらいの成果を上げたのかを可視化できるという。
メタデータ分析機能では、BIレポートからデータソースまでのデータを追跡する。特定のシステムで生成されたデータが、他のシステムやレポートで、どのような形で利用されているかを詳細に知ることができるという。これにより、データの品質や変更が、他のシステムにどのような影響を与えるかを評価したり、データ資産を再利用したりすることが容易になるとしている。
Information Stewardという名称は、データ活用の先進企業で徐々に使われて始めている「Data Steward」という名称に由来するという。Data Stewardは「企業が扱うデータ資産について、その信頼性を継続的に確立し、ライフサイクル全体(定義、管理プロセス、品質、使用先、セキュリティ等)を通じて責任を持つ人、あるいは役割」を表す言葉であり、Information Stewardは、この役割を担う人の支援を主眼においているという。
データ品質の確保、向上の重要性は古くより指摘され、その必要性は認識されているものの、実際にその役割を担う専任部隊を組織できる企業はほとんどないのが現状だ。SAPジャパンでは、「情報システム部門が認識しているデータ品質の管理や向上の重要性を経営層に理解してもらうためには、その可視化が必要。そのために、パートナーと共同でInformation Stewardを使い、まずは企業データの現状を可視化することからはじめ、そのインパクトを共に考えて、必要性を感じてもらえるような取り組みを進めていきたい」(坂本氏)としている。