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クラウドコンピューティングの都市伝説のベールを剥ぐ - (page 2)

Werner Vogels (Amazon社 CTO)

2011-08-22 07:00

 クラウドについてはこれまで多くの陰口や懐疑論が語られてきました。これらの陰口に切り込んで、よく聞かれるいくつかの都市伝説のベールを剥ぐことにしましょう。

都市伝説1 - クラウドはセキュリティに不安がある

 どのクラウドプロバイダーにとっても、セキュリティは常に最も優先されるべき問題です。ほとんどの企業では、Amazon Web Servicesなどのクラウドプロバイダーのようにセキュリティのためだけにリソースを使用するような贅沢はできませんが、クラウドプロバイダーはそれを何年にも渡って実践しています。クラウドは、企業のデータセンターが過去30年に渡って使用してきたものと同じセキュリティ戦術および戦略をすべて使用するとともに、実際にセキュリティのためにはるかに多くの投資をしています。インフラストラクチャをクラウドプラットフォームに移行した企業は、セキュリティが実際に向上することに気付いています。

都市伝説2 - クラウドの利点はコストだけ

 実際には、コストは利点の1つにすぎません。より重要な利点は、より迅速に行動して市場投入までの時間を短縮できることです。企業のソフトウェア開発エンジニアに対して、実験やプロジェクト拡張のためのサーバを手に入れるのにどのくらいの期間がかかるか尋ねてみたとします。それに対する答えは、たった1台のサーバの場合でも4週間から3カ月ほどです。これはエンジニアにとって大きなストレスであり、イノベーションを抑制します。クラウドでは、大量のサーバキャパシティを数分で利用できるようになり、開発作業を促進できます。

都市伝説3 - すべてのインフラストラクチャを一挙にクラウドに移行する必要がある

 新規の事業の場合、するべきことはその事業を始めることです。必要かどうかわからないインフラストラクチャを購入するという旧世界のモデルに基づいてシステムを構築するのは無意味です。新しい開発を行う企業の場合、クラウド上にそれを構築するのは簡単です。それにより、上記の利点の恩恵をただちに受けることができます。多くの古いアプリケーションおよびシステムを使用している企業の場合、すべてを一度に移行するのは賢明ではありません。ほとんどの企業はもっと体系的な方法で移行を進め、最初に多様なアプリケーションのセットを選んでクラウド内で実証実験を行います。これらの企業は数週間から数か月に渡ってそれらのアプリケーションを実行し、クラウドがどのように異なるかを調べ、クラウド内で業務を遂行する方法を理解した後、他のアプリケーションを移行します。その後、12カ月から24カ月に及ぶ移行計画が実施されます。Amazon Web Servicesでは、現在多くの企業とともにこのような移行を実施しています。

都市伝説4 - 自社のプライベートクラウドでもクラウドが持つ利点をすべて得られる

 プライベートクラウドやインターナルクラウドの詳細を実際に知れば、それらが通常は非常に高価な固定費を要する単一企業のために導入されたインフラストラクチャであり、クラウドの主要な利点がすべて欠けているという事実がわかります。この種のインターナルクラウドを構築する会社は、データセンターにおけるすべての設備投資を所有し、継続的な高い保守コストも負担します。企業は、プライベートクラウドが本当は何なのかということについて考える必要があります。「プライベートクラウド」には「クラウド」という言葉が含まれていますが、クラウドの主要な利点がすべて欠けているからです。

 クラウドコンピューティングは、ITをビジネス成功の真の実現要因にしてくれます。企業はクラウドコンピューティングによって、インフラストラクチャに関する差別化に役立たない重労働ではなく、市場投入への時間を短縮するためのイノベーションに、その資本とリソースを集中することができます。100年以上前、ほとんどの企業が各自で発電していたときに何が起きたかを考えてみてください。各企業は敷地内に発電機を設置して運転し、工場を稼働させるための電力を生成していました。時が経つにつれて電力網が発展し、電力網の経済性があまりに優れていて企業が各自の発電機を使用し続ける意味がなくなったため、最終的に各企業での発電は行われなくなりました。これと同じことがコンピューティングの世界でも起きようとしています。時が満ちれば、自前のデータセンターを所有する企業はほとんどなくなり、所有する企業の割合は非常に小さくなるでしょう。それは、クラウドの経済性が、先進的な企業にとって無視するには素晴らしすぎるためです。

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