総合工具メーカーのオーエスジーは基幹システムを、統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「Oracle E-Business Suite(EBS) R12」とハイパーバイザ「Oracle VM Server for x86」などで刷新、2010年12月から稼働している。
オーエスジーは世界25カ国で製造、販売、技術サポートの体制を取っている。従来はメインフレームを中心に、必要に応じて関連システムを加えることで、基幹業務を支えていたという。
だがグローバル展開の加速により、旧来のアプローチのままだとスピードやコストの面で課題があったとしている。業務改善プロジェクトの一環として、課題を解決するため、グローバルで統一された新基幹システムの構築を決定している。
同社は柔軟性や拡張性、堅牢性などの点からEBS R12を採用している。新基幹システムは国内営業や国際営業、生産と経理の各業務で導入され、国内47拠点で約830人が利用している。
新システムはビッグバンで導入されている。新システムにより、営業部門では受注伝票や承認処理の電子化と標準化、受注情報と製造注文の自動連携、在庫情報の可視化が可能になったという。
生産部門では、需給管理による在庫量の適正化、生産計画の精緻化などでサプライヤーへの適切な情報を提供し、材料調達にかかる時間を削減している。生産管理業務も標準化されているという。会計部門では、経理業務の効率化、部門や事業所、製品分類ごとの財務情報が可視化され、今後の適用が見込まれている国際会計基準(IFRS)への対応も視野に入れているとしている。
オーエスジーの新基幹システムでは、日本ユニシスとインドのITサービス大手Infosysが連携するアプリケーション保守サービスを活用している。新基幹システムの本番環境はユニシスのデータセンターにハウジングしており、テスト検証環境はユニシスが提供するIaaS「U-Cloud IaaS」の上で稼働している。
ユニシスとInfosysによるアプリケーション保守サービスは、U-Cloud IaaSの上でOracle VMを基盤にしたEBS R12を保守する。オーエスジーに常駐する2社のエンジニアと、インドにあるInfosysのグローバルサポートセンターのエンジニアがネット経由で、Oracle VM上のEBS 12の保守作業を行って、確認が取れた機能などを本番環境に埋め込むといったことができるようになっている。
Infosysのオフショアリングを活用することで、基幹業務アプリケーション維持運用のコスト削減が実現するという。追加開発部分を含めた基幹業務アプリケーション全体を把握し、継続的に改善していくことで、ビジネスサイドからの要件に対し、迅速かつ最適に対応できるとしている。
InfosysはOracleのパートナー認定の最上位であるダイヤモンドパートナーであり、7500人以上のOracleアプリケーション認定コンサルタントを抱えている。ユニシスは2008年2月にInfosysと戦略アライアンス協定を結んでいる。