本体改変やアドオン開発以外のERPカスタマイズが求められている - (page 2)

田中好伸 (編集部)

2011-11-01 11:31

 ノークリサーチは、ERPカスタマイズの価格評価は、「パッケージ本体のバージョンアップと個別カスタマイズをいかに分離するか」がカギと説明する。パッケージ本体の改変やアドオン開発はバージョンアップ時に不整合が生じる可能性があり、コストが増加しやすいと指摘する。既存テンプレートの活用はプログラム的な影響がほとんどないが、既存テンプレートで要件が充足されるケースが少なく、本体改変やアドオン開発と併用されることが多いという。こうしたことからERPカスタマイズの価格評価が低いと推測している。

 価格評価が高い3つのカスタマイズ手段は大きな差がなく、パッケージ本体のバージョンアップと個別カスタマイズをいかに分離するか、という観点では、「ユーザー自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」「カスタマイズ部分と本体のオブジェクト階層を分ける方法」「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」のどれかが有効な選択肢になるとしている。

 機能の充足度と自社要件適合性の評価では、「機能の追加/変更が容易か」がカギになると指摘する。柔軟性の点では、パッケージ本体にプログラム改変を展開する方法が有利となっており、高く評価されている。だが、これは価格評価とは両立しない。そのため、価格評価が高い3つの手段の中で、機能の充足度と自社要件適合性の評価も高い手段を選ぶのが得策と提唱している。

 「ユーザー自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」はプログラミングスキルが不要な点、項目単位の細かい機能変更が可能な点などから、機能の充足度と自社要件適合性のいずれも高い評価だ。

 「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」は機能そのものが不足していた場合の追加が難しいが、設定項目を調整することで自社要件に合わせることができればコスト面でも優位な手段となると指摘する。

 「カスタマイズ部分と本体のオブジェクト階層を分ける方法」はユーザー側が個別にカスタマイズしたいと考える改変がユーザーによる変更が許されるオブジェクト階層で可能かどうか、が大きく影響するという。要件内容によってはSIパートナーに対してのみ変更が許されるオブジェクト階層での改変が必要となる場合もある点に注意が必要としている。

 ノークリサーチでは、ユーザー企業の中に、ERPパッケージのカスタマイズに起因する課題がクラウドへの移行で解決できるという誤解があると指摘。クラウドはあくまでも情報システムを運用する形態の一つでしかなく、設置場所を自社内からデータセンターを移したとしても、課題は解消されないと説明する。こうしたことから、クラウドに移行する前に、まず価格と機能、自社要件への適合性の3つを両立させるためのERPパッケージの改善、選定を検討することが重要と提唱している。

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