サイボウズは12月5日、独自のクラウド基盤「cybozu.com」上で提供するエンタープライズグループウェア「Garoon on cybozu.com」の販売を開始した。同社では3カ月連続で新サービスをリリースすると告知しており、Garoon on cybozu.comは、10月に発表した「サイボウズ Ofiice 9」、11月に発表した「kintone」に続く第3弾となる。
Garoon on cybozu.comでは、パッケージ版「Garoon」に組織横断型のプロジェクトを支援する「スペース」機能を搭載。業務を遂行するのに必要なディスカッションスペースや共有ToDo、ファイル共有、業務アプリ(kintone)を1画面に集約することで、効率的に情報の共有やノウハウの蓄積ができる。「固定ヘッダ」機能により、どの画面からでも自分宛の通知を確認することができる。
同日の記者発表会に臨んだサイボウズ代表取締役の青野慶久氏は、イノベーションを起こしたプロジェクトチームの例として、京速コンピュータ「京」や、日本コカ・コーラの飲料水「い・ろ・は・す」などを挙げ、これらのチームの共通点は組織横断型のコミュニケーションだと説明する。
「いままでの日本企業のコミュニケーションは社長から縦へ降りていくトップダウンモデルが多かったが、イノベーションを起こしていくためには各部門が協力しあって、もっとフラットに自由活発にコミュニケーションをする必要がある」(青野氏)
ログイン時のセキュリティをより強固にするために、IPアドレス制限や個別のクライアント証明書による接続元の証明と、IDやパスワードによる認証を組み合わせた「2ファクター認証」を採用している。無料のスマートフォンアプリやタブレット端末からもアクセス可能だ。
価格は300名までが1ユーザーあたり月額845円、301~1000名までが月額800円となる。同社ではパッケージ版「サイボウズ Office」と「サイボウズ ガルーン」に蓄積されたデータをGaroon on cybozu.comへ移行できるサービスも提供する。
国内サービスを連携させて新たな価値を生む
発表会の後半には、青野氏とブイキューブ代表取締役社長の間下直晃氏による対談が行われた。サイボウズでは、cybozu.comのサードパーティオプションの第1弾として、ブイキューブのウェブ会議サービス「V-CUBE ミーティング」を提供する。価格は1部屋あたり5万円となる。
提携する以前から親交があったという青野氏と間下氏。「随分前から何か組みたいと話していたが、なかなかオンプレミスだと組みにくかった」(青野氏)という。サイボウズがクラウド事業へ参入したことで両社の連携も実現した。両氏はクラウドが登場したことで、サービス間の連携が容易になったことから、今後は国内のサービス間でも連携をより強めていくべきだと話す。
青野氏は「この分野だけはトップという会社は結構ある。単体だと目立たなくても、クラウドでつながった瞬間に、いままで弱いと思われていた日本のソフト企業がどんどん連携しながら価値を生んでいく。欧米の企業に対抗できるような流れになるといい」と語り、cybozu.comと連携する企業を増やしていきたいと話す。
また、アジア地域を中心に積極的に海外へも展開しているブイキューブの間下氏は、「アジアにおける日本製品の評価は高いが、サービスに対しても評価は高い。どうしても日本では国内市場が大きいので内側しか見てこなかったが、外を見るようになるとチャンスはたくさんある。アジアでナンバーワンになることで将来的には世界一になれる」と語り、国内企業には高い可能性があるとの見方を示した。