Windows 8の開発者向けプレビュー版が提供されてからしばらく経ったことで、初めてWindows 8に触れた人の多くを襲う強烈な感情を脇に置いて、客観的に評価することも容易になってきた。遠くから眺めると、Windows 8には多くの美点がある。特に、インストールされているデスクトップアプリケーションにこだわるのをやめ、ウェブアプリケーションとWindows 8専用アプリケーションに移行できるのであれば、それらの美点は際立つ。この記事では、わたしが考えるWindows 8の美点を10項目挙げてみる。
1.タブレット端末とタッチ操作向けにデザインされている
Microsoftは、Windows 8をタブレット端末とタッチUIパラダイムで使えるものにするために頑張っており、この努力は逆に従来のデスクトップユーザーを遠ざけてしまうほどの所まで来ている。MicrosoftがMetro UIに対する批判にどう向き合うかは、まだ今後の課題だ。ただ、わたしはMetro UIのスマートフォンを半年以上使っているが、このUIはタッチ操作には極めて有効であり、個人的にはWindows 8を載せたタブレット端末を待ち望んでいる。
2.アプリケーションデータを「共有」できる
アプリケーションの開発モデルで大きく変更されたことの1つに、Windows 8用の(新しいMetro UIとWinRT APIを使用する)アプリケーションは、注意深く定義されたインターフェースを除いては、ファイルシステム経由でさえ互いに直接通信することはしないということがある。これは開発者にとっては多少制約になる一方で、アプリケーションがデータを共有する際には、Windowsがデータがどう共有されているかを知っており、データの共有を簡単にしてくれるということを意味している。例えば、画像を扱うアプリケーションがあるとき、それを使ってFacebookに写真をアップロードするアプリケーションとデータを共有したりできるということだ。これは、異なるソフトウェア会社が作ったアプリケーションはシームレスに一緒に動作するようになり、しかも開発者がそのために何か特別なことをする必要はないということを意味しており、開発者により大きなパワーを与える。
3.アプリケーションをOSに統合できる
アプリケーションがお互いに「共有」できるのと同様に、Windowsそのものとも同じことが可能だ。繰り返しになるが、これによって、アプリケーションを作る側ではあまり苦労することなく、非常に気の利いた統合を行うことが可能になる。例えば、新しいソーシャルネットワーキングアプリケーションが登場した数週間後には、Windowsがそのアプリケーションの友人リストを連絡先リストに利用できるようになったり、写真を自分の写真ギャラリーに入れたりすることができるようになるかも知れない。可能性はいくらでもある。
4.ARMをサポートしている
ARMのCPUは、全員が使うようなものではないし、用途も限られているが、多くのモバイルベンダーがARMのプラットフォームに注力しており、これをよく理解している。ARMデバイスでは従来のWindowsアプリケーションを実行することはできないが、Windows 8専用アプリケーションは問題なく動かすことができる。これはハードウェアメーカーにとっても、ソフトウェア開発者にとっても、ユーザーにとっても素晴らしいことだ。
5.セキュリティが強化されている
Windows 8専用アプリケーションの新しいプログラミングモデルは、極めて安全だ。攻撃方法が見つかるであろうことは確実だろうが、専用アプリケーションのセキュリティを掻い潜るのはかなり難しくなるはずだ。MicrosoftはWindows 8で、これまでと逆のアプローチを用いている。すべてを許可しておき、何年もかけて徐々に制約を加えていく(そしてその過程で、XP SP2やVistaのようにアプリケーションを動かなくしてしまう)のではなく、最初は「なにも許可しない」ことを基本にしている。