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「ビッグデータ」ブームに対してユーザー企業はどう対応すべきか - (page 2)

栗原潔 (テックバイザージェイピー)

2011-12-14 14:09

データを戦略的に扱う具体的方策とは

 では、データを戦略的に扱っていくためにはどうすればよいのか? 「データは企業の戦略的資産」というお題目だけでは話は進まない(もし、これで話が進むのであれば問題はとっくに解決しているだろう)。

 ひとつはトップの意識改革だが、これには「ビッグデータ」ブームがうまく貢献してくれるかもしれない。特に、今後「ビッグデータ」が企業経営に大きな好影響を与えた事例が多く出て来ることでポジティブな効果が期待できる。

 もうひとつは人材だ。本特集の第3回でも述べたデータ分析スキル、ITスキル、そして、ビジネスプロセスに関するスキルを兼ね備えた人材、いわゆる「データサイエンティスト」の獲得が重要だ。このような人材が継続的にデータ分析を通じてビジネス上の問題を解決したり、新たなビジネス機会を作り出したりできれば、データの戦略的価値は大いに高まる。

 米国において「データサイエンティスト」の不足が予測されていることはよく知られている。たとえば、LinkedInの担当者(まさに、データサイエンティストに相当する人物)から筆者が聞いた話では、LinkedInの転職関連情報を分析すると近年「データサイエンティスト」の需要が急増していることが定量的に明らかになっているそうだ(ところで、この分析自体が転職支援から多くの収益を得ているLinkedInという企業にとって「ビッグデータ」が差別化要素になっているという例だ)。

 残念ながら、日本では米国ほどの人材の流動性がない(今後この傾向が変わる可能性はあるが)。「データサイエンティスト」を急募したからと言って必要な人材が得られる可能性は低い。ではどうすればよいのだろうか?

 人材が不足しているのであれば専門家組織を作ることで対応するという手がある。企業内の各部門から「データサイエンティスト」としての資質がある人材を集め、データの戦略的活用タスクフォース、いわば、仮想的な専門家組織を作るのである。こうして各部門に散らばっていた専門知識を集約することで「データサイエンティスト」不足問題にある程度は対応できるだろう。

 この種のタスクフォースに関する一般的注意点として、各メンバーが現在の職務の負担はそのままで、追加作業として(要するに片手間で)タスクフォースの作業を行なわなければならないような状況を避けるべきということがある。また、メンバーの人事上の上司がタスクフォースにおける作業を正当に評価するような仕組みも必要だ。これらの方策がなければ、タスクフォースは確実に形骸化する。

最後に

 一般に、ブームに惑わされて不要不急のIT投資を行なうことは危険だ。しかし、「ビッグデータ」が不要不急ということはない。逆に、企業が本来であればとっくにやっておくべきだったのにできていなかったことを(特に、トップマネジメントに対して)再認識させるという点で意義がある。企業のIT担当者としては「ビッグデータ」ブームをうまく利用するという考え方も重要だろう。

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