FacebookのNews Feed機能に関する特許が米国で成立してしまった件についてはだいぶ前(2010年3月)にこのブログでも触れましたが(編註:著者のブログ「栗原潔のIT弁理士日記」)、同じ特許が日本でも拒絶査定不服審判の後に11月18日に成立してしまいました(特許4866463号「ソーシャルネットワークのユーザについてのニュース配信を動的に提供するシステムおよび方法」)。
以前のエントリーでは「ここでいうNews Feedとは一般的なニュース配信のことではないよ」というような説明をしましたが、Facebookがある程度普及した現在ではわざわざこのような説明をする必要はないでしょう。要は自分のフレンドあるいは自分がフォロー(サブスクライブ)しているユーザーのアクションや状態変化(誰それさんとフレンドになりました等々)を時系列で表示していく仕組みのことです。Facebookだけではなく、Twitter(最近追加されたアクティビティタブがまさにこれ)、mixi、LinkedIn等々、SNSであればほぼ確実に実装されている機能です。なお、他のユーザーが入力したメッセージを時系列で表示する機能(Twitterで言えばタイムラインの本来の機能)はこの特許には含まれていません。
まだ特許公報がIPDL(特許情報図書館)に上がっていないのですが、以下の方法を使えば、補正後の最終的な公報の内容が把握できます(結構ややこしいですけど)。
- IPDLのメインページから「特許・実用新案検索」を選択
- 「11.審査書類情報」を選択
- 「種別」を「特許出願」にした状態で「番号」に本特許の出願番号である2009-523823を入力
- 審査の経過書類が見られます(ブラウザによってはエンコードをShift-JISにする必要あり)。特許公報そのものは見られないのですが手続き補正書(計3件)の内容がわかりますので、公開公報にこの補正を適用したものが最終的な特許公報ということになります。
ざっとみた限りでは補正によってもあまり範囲が限定されておらず、記載要件の不足部分に対応する補正を行なっただけで、ほとんど元々のアイデアそのものが特許化されているように見えます。もちろん、特許権を侵害するかどうかをチェックするために対象システムの内部実装にまで立ち入って、特許発明との比較を行なう必要がありますが、ちょっとそれはこのブログの範囲を超えています。
Facebookが特許権をすぐに行使することはないと思われますし、回避も比較的容易(Twitterのケースであればアクティビティタブをやめればよい(どうせ元々評判良くないですしw))ではありますが、SNS提供事業者の方はちょっと気にはしておいた方がよいように思えます。
ZDNet Japan編集部:本稿はブログ「栗原潔のIT弁理士日記」からの転載です。執筆者の栗原潔氏は、株式会社テックバイザージェイピー代表で弁理士。IT分野に特化した知財コンサルティングを提供しています。
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