米Art Technology Group(ATG)は、Oracleが2011年1月に買収したeコマースソフトウェアベンダーだ。米Gartnerのeコマース版Magic Quadrantでは、2010年5月時点で同社のeコマースソフトウェア「ATG」がIBMの「WebSphere Commerce」とともにリーダーポジションに位置していた。
日本オラクルは2011年12月にATGとソーシャル機能の連携を強化している。具体的には、理経の協力の下、商品レビュー(口コミ)管理のSaaS「PowerReviews」とATGを連携させた。
ATGの特徴は「シナリオ」や「パーソナライズ」と呼ぶ2つの仕組みで説明できる。
上甲統久氏
シナリオは、顧客の属性や文脈に沿って表示するコンテンツを変更する機能。日本オラクル アプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部 ビジネス開発部 担当シニアマネージャーの上甲統久氏は、「どの顧客がアクセスしてきたら、何をするか設定できる。プログラミングなし、GUIで作成できる」と述べる。
たとえば、富裕層主婦というセグメントには「友人紹介キャンペーンのバナーを表示」するとともに、商品の並び順を「価格の高い順に表示」させることも可能だ。また、PowerReviewsとの連携により、特定のセグメントと親和性の高い口コミを表示させることもできる。
ATGの特徴的な機能の「パーソナライズ」では、動的な情報でセグメントを切ることができる。たとえば、「富裕層主婦」は静的な情報だが、「特定のページを10回以上見た」や「特定のブランドの商品を3回以上購入した」といった情報は動的情報となる。静的・動的情報をもとにセグメントを事前定義し、対象とするユーザーにより効果的に商品やサービスを訴求——つまり1to1マーケティングを実現しようという機能だ。
上甲氏によれば、小売業ではウェブの店舗から実店舗への送客を実現する「Online to Offline(O2O)」に加え、その逆の流れにも需要があるという。
「複数のブランドサイトを管理でき、ユーザーの各ブランドサイトでの行動も効率的に管理できる。他のシステムでの連携実績も豊富だ」「ひとつのシステムで(ウェブや実店舗、ソーシャルメディア、メール、携帯など)すべてのチャネルの情報を管理できる」と、O2O支援での優位性も強調している。