シマンテックは2月23日、データ保護ソフトウェアの新版となる「Symantec NetBackup 7.5」を発表した。3月6日からパートナー企業を通じて提供される。参考ライセンス価格は最小構成で62万円から(基本は個別見積もり)。
米Symantecの情報管理グループ担当シニアバイスプレジデントであるDeepak Mohan氏は「情報量は2年で2倍になっているのに、データ保護に対する予算は現状維持か減少している」と説明、バックアップ速度の高速化と災害対策計画のニーズの多さを示した。そして解決のためには「COST」が重要であるとした。

“C”はコスト削減のための投資(Capital)、“O”はバックアップソフトの単一化による運用コストの削減(Operation cost)、“S”は時間内にバックアップ、リカバリ、リストアを完了させること(SLA)、“T”はクラウドへ移行するなどデータセンターの変革(Transformation)を意味するという。
NetBackup 7.5には新機能として「V-Ray」「NetBackup Accelerator」「Replication Director」が搭載されている。V-Rayは、VMwareとHyper-Vを可視化することで物理マシンと仮想マシンを統合する機能。データをコピーやマウントする必要なく、物理環境と同様にファイル単位でのリストアが可能という。NetBackup Acceleratorは、バックアップ時間を大幅に短縮する機能で、実際に900の企業でバックアップ速度が100倍になったとしている。

Replication Directorは、スナップショットを一元管理することでバックアップとの連携を強化する機能。NetBackupプラットフォームによってデータソースのワークロードを最適化し、保存先を自由に選択できることが特徴であるという。
シマンテック執行役員マーケティング本部長の石崎健一郎氏はバックアップ/リカバリの現状について説明。バックアップ/リカバリSLAを達成している企業は68%、課題はないとする企業は24%にとどまっている。「プロセスが複雑になり管理できない(26%)」「バックアップツールが増えすぎた(28%)」など仮想環境の普及が一因と思われる課題を抱え、「リカバリに時間がかかりすぎる(33%)」「バックアップに時間がかかりすぎる(39%)」といった実態であると調査結果を紹介した。

石崎氏はエンタープライズにおけるデータ保護に求められる要件として仮想環境での統合管理、高速バックアップ/リカバリ、重複排除機能の強化、災害対応(ディザスタリカバリ(DR)機能の強化)、ストレージ連携の拡張、クラウドストレージとの連携、サーチ機能拡張――という7点を挙げた。
これの要件に対し、NetBackup 7.5では前述した3つの新機能と4つの機能拡張で対応しているという。機能拡張では、V-Rayに第3世代のGRT(Granular Recovery Technology)エージェントレス技術を搭載し、ワークフローの負荷を軽減したとしている。
重複排除機能の強化では、容量を32Tバイトから64Tバイトに拡張。日本でアプライアンスとして展開するかどうかは検討中であることを明らかにしている。災害対応(DR機能の強化)では、遠隔サイトへイメージの複製を重複排除しながら自動転送し、常時リストア可能な状態にした。BMR(ベアメタルリカバリ)もサポートしている。
クラウドストレージとの連携では対応クラウドベンダーを4社に拡大した。ただし、これらは米国でのサービスであり、日本での展開は検討中だとしている。サーチ機能拡張については、ビッグデータの効率的なサーチを実現し、データの分析を容易にしている。

これらの新機能と機能強化によって、ユーザーを熟知したバージョンアップを実施し、仮想化環境でビジネスクリティカルなアプリケーションを利用することを意識した使い勝手の向上、異機種混在環境での優位性を仮想化対応強化でさらに推進すると石崎氏は強調している。販売目標は、対前年比での2ケタ成長としている。
シマンテック代表取締役社長の河村浩明氏は「Symantecは、企業向けシステムバックアップ/リカバリソリューション市場で世界シェア35.1%と、2位の倍以上のシェアでトップとなっているが、日本では2位に甘んじている。それでも数字は着実に伸びており、成長率はグローバルの数字を大きく上回っている。本製品は2012年、日本のシェアトップを取るための大きな原動力となる」と意気込んでいる。