災害対策はできるところから始めるべき--効率的バックアップを考える

田中好伸 (編集部) 2011年08月11日 12時50分

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 IT部門の目下の関心は事業継続性にある。“想定外”という言葉があふれかえった東日本大震災の経験から、日本企業は多くを学び、将来に役立てようとしている。その中でも、いかにしてシステムや貴重なデータを保護すればいいのか、が問われている。大規模向けの「Symantec NetBackup」や中小規模向けの「Symantec Backup Exec」といったバックアップソフトウェアを提供するシマンテックは8月9日、自然災害を想定したバックアップ手法に関する説明会を開催した。

 災害復旧(DR)を想定したバックアップツールの活用について、シマンテックの浅野百絵果氏(プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャ)は「災害時に被害を受けないためには、地理的に離れた場所にデータを移動する必要がある」とした上で、以下の5つの手法を挙げている。

(1)テープなどの可搬記録媒体を遠隔地に保管
(2)重複排除を使って遠隔地にバックアップ
(3)重複排除でのバックアップデータの複製
(4)クラウドストレージへのバックアップ
(5)小規模や拠点でのPCとサーバのバックアップ

 (1)の可搬記録媒体を遠隔地に保管するという手法は、以前から活用されているものだ。だが、この手法では、保管場所を確保する必要があり、輸送コストも必要になる。大量のテープを管理する手間もかかってしまう。テープの輸送時に紛失するなど実際に事故が起きていることから「情報漏えい事故の原因になってしまう」(浅野氏)ため、輸送時のセキュリティを考慮する必要もある。テープというツールであることから、実際のリカバリに時間もかかるというデメリットも存在する。

 (2)と(3)は、ネットワーク経由で遠隔地にデータをバックアップするというものだが、(1)と違って、物理的に搬送する際のセキュリティ問題がなくなる。ただ、ネットワークの帯域幅に制限があるため、重複排除技術を活用する必要がある。重複排除することで「転送量が劇的に削減可能」(浅野氏)であり、遠隔地でのストレージの容量も少なくてすむというメリットもある。

 (2)の場合、対象となるサーバの中でデータの重複する部分を排除して、データ量を削減したものを遠隔地のストレージに格納する手法だ。この重複排除技術は、中小規模向けのBackup Execも大規模向けのNetBackupも同じ技術をベースにしている。NetBackupの場合、複数のサーバを一つのストレージプールとして構成でき、「スケーラビリティが高い」(浅野氏)というのがメリットだ。

 だが、この重複排除を使って遠隔地にバックアップするという手法は、ネットワークの信頼性が低いケースでバックアップが失敗するという危険性に注意する必要がある。バックアップされたデータに冗長性がないということにも注意しなければならない。

「テープの場合、1週間ごとにフルバックアップということにしておけば、最新データが記録されたテープがなくなったとしても、1週前のものからリカバリできる。重複排除したデータを遠隔地でバックアップする手法では、冗長化構成が取れないことが課題になる」(浅野氏)

 そうした課題を解決するために、(3)の重複排除でのバックアップデータの複製という手法だ。これはネットワーク経由で遠隔地にバックアップするという点では(2)と同じだが、データを重複排除する“場所”が異なる。(2)の場合、対象となるサーバの中で重複排除するが、(3)では対象サーバの中で重複排除せずにバックアップするが、遠隔地にあるストレージに重複排除されたデータを複製するというものだ。対象となるサーバへの負荷が少ないというメリットも享受できる。(3)は、(2)の課題である冗長性を解決できることになる。

 だが(3)にも課題はある。データセンターあるいは地理的に離れた拠点が必要となるし、1つの拠点だけで、この手法を取ることはできない。ストレージの設備が少なくとも2つ以上用意する必要もある。(3)の手法では、よりコストがかかることになる。

 ここで出てくるのが、(4)のクラウドストレージだ。この手法では、たとえばBackup Execなどでバックアップされたデータをクラウドストレージにコピーすることで、災害に備えたデータを退避できることになる。この手法で注意しなければならないのが、「ベンダーによってデータの転送方法が異なる」(浅野氏)ことだ。

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