シマンテックでは、クラウドストレージベンダーのNirvanixと提携しており、Backup Execの最新版(Backup Exec 2010 R3)では、ローカルに接続されたストレージと同様の操作でNirvanixのオンラインストレージにバックアップできるという。この機能はR3以降では追加のオプションは必要なく利用できる(R2以前では、重複排除オプションが必要)。Nirvanixは1カ月1Gバイトで25セントから利用できる。
クラウドストレージを利用する際の留意点としては、クラウドストレージの料金体系、預けるデータの総量などを事前に把握しないと、コストが当初の思惑以上にかかってしまうという点がある。加えて(クラウドストレージも含めたクラウドサービス一般に言えることでもあるが)、「データの保全が自社内で完結しないことへの不安、セキュリティをどうやって担保しているのかという不安」(浅野氏)も抱えることになる。
(5)のバックアップは、(1)~(4)と異なってデータも含めたシステム全体をバックアップするというものであり、「Symantec System Recovery 2011」(旧「Backup Exec System Recovery 2010」)を活用する。「スタンドアロンで動作するため、小規模のサーバやPCに最適」(浅野氏)というSystem Recoveryは、CDやDVDなどの可搬性のある記録媒体にバックアップする。
System Recoveryは、バックアップイメージをNASやSAN、USB接続のハードディスク、FTPサーバなど2カ所のオフサイト先に保管可能であり、離れた場所からリカバリすることも特徴という。浅野氏はSystem Recoveryについて「異なるハードウェアや仮想環境にも簡単にリカバリできる」とメリットを強調している。
Cドライブ全体をまるごとバックアップする場合、リカバリする際には通常全く同じハードウェアの構成が必要となるが、System Recoveryでは、ハードウェアの構成が異なっていてもリカバリできるようになっている。システムのダウンタイム短縮に効果的な機能と言える。仮想環境への対応では、VMware vSphereやVMware ESX 3.5、Hyper-V、Citrix XenServerといったハイパーバイザをサポートしており、仮想マシンをまるごとバックアップすることもできる。
浅野氏は、災害対策について「大企業だけの問題ではなく、中堅中小企業にも求められている。日本企業は災害対策でも完ぺきを求める傾向にあるが、限られた時間やコストの中で、できるところから始めた方がいい」と説明している。
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