レンタルオフィスなどを提供するRegus(リージャス)は3月8日、世界85カ国の経営者を対象に2011年8月に実施した、企業の災害復旧(DR)プランに関する調査結果を発表した。有効回答数は約1万2000人で、うち約320人が日本企業の経営者。
調査によれば、日本企業の68%が東日本大震災後でも「災害発生時、24時以内に利用可能な代替オフィスを準備していない」ことがわかった。災害発生時に利用する代替オフィス、代替ITなどの設備を事前に準備する費用については、日本企業の約半分の47%が「費用が高額すぎる」と回答した。
どちらも海外と比較して高い割合で、災害リスクに対する考え方の違いが浮き彫りになる結果としている。設備の準備費用を高いと感じている経営者が多いことは、代替オフィスを準備していない数値の高さにもつながっていると推測されるという。
日本リージャスでは、震災発生直後から、同社が全国で展開する貸しオフィスと貸し会議室、ビジネスラウンジなどを備えたビジネスセンターの利用に関する問い合わせが急増したという。実際に震災を機に利用する企業も多く、震災以降に東京のオフィスから関西のリージャスに拠点を移した企業は100社以上に上り、短期的な拠点として利用するだけでなく、現在まで継続して利用する企業も多いとしている。
同社会長の呉偉氏は「東日本大震災を経験して日本の企業の災害復旧プランに対する考え方や取り組みは大きく変わった。特にオフィスについては立地や環境、そのコストを熟慮する企業が増加しているようだ」と説明する。
同氏は「日本企業の災害リスクに対する意識は、海外と比べて、まだ低いことが今回の調査で浮き彫りになった。従来のワークスタイルにとらわれず、自宅やリージャスなどのような第三の場所を利用した働き方や、第三の場所を活用した事前対応を進めておくことで、コストを抑えた災害時の対策が可能となる」と提唱している。