「失敗」が、プロジェクトが実を結ばなかったという意味であれ、宣言した目的を達成できなかったという意味であれ、技術的なプロジェクトが壮大な失敗に終わることが多いというのは、よく知られていることだ。信じられないかもしれないが、すべてのITプロジェクトが失敗するわけではない。プロジェクトが始まる時点でいくつかの質問をすることで、プロジェクトを無事完了させられる率を改善し、失敗に終わった取り組みについて反省するのではなく、プロジェクトの成果を享受することができる。
1.そのプロジェクトは現在のポートフォリオのどこに位置付けられるのか
これは、プロジェクト開始時に問われるべきもっとも重要な質問かもしれない。この質問は多くのより細かい質問から構成されている。プロジェクトポートフォリオの管理は、常にうまくいくわけではない。扱いがまずければ、組織が有限のIT資源を過剰に注ぎ込んでしまい、複数のプロジェクトにわたる失敗につながる。
この質問は、IT資源が過負荷になっていないことを確認するのに加え、必要なポートフォリオに基づく情報を提供してくれる。
- そのプロジェクトが達成すべき戦略的ゴールはどのようなものか?各プロジェクトは、ビジネス上の目標を達成するために、足並みが揃っていなくてはならない。それぞれの戦略的なゴールをあらかじめおおまかに把握しておくことで、プロジェクトの優先順位を決定しやすくなる。
- このプロジェクトは他のプロジェクトとどういう関係にあるのか?プロジェクトを優先順位に基づいて並べることで、組織のすべてのメンバーが、いつ何がなされるのかを理解できる。
2.プロジェクトを無事完了するだけの資源が本当にあるか
20ドルのものが欲しいのに、財布には5ドルしか入っていないという経験をしたことはないだろうか。同じことが、複雑なITプロジェクトを実施しようとしている多くの組織にも起こっている。そればかりではなく、多くのプロジェクトでは、無事完了するのに必要な人的資源と資金の両方を過小評価している。この質問に対する回答の一部として、プロジェクトリーダーはプロジェクトの参加者から、困難が起きたり優先順位が変更されても、あらかじめ定められたプロジェクトの目標は必ず達成するという約束を取り付ける必要がある。これは、他にも組織的な責任を負っているプロジェクトチームが直面するもっとも大きな課題だろう。また役員レベルでも、プロジェクトがあらかじめ約束された配慮を得られるという確約や、他に優先順位の高い課題が生じた場合にはプロジェクトが失敗する可能性もあるという合意が必要となる。
さらに、プロジェクトを評価するにあたっては、必ずすべてのコストを計算に入れる必要がある。それでも、プロジェクトを完了するのに十分な資金があるだろうか?本来必要となる金額よりも少ない経費でプロジェクトを進めようとすべきではない。超人的な努力があれば不可能ではないかもしれないが、結果はおそらく芳しいものにはならないだろう。