クラウドアプリケーションとウェブアプリケーションは同じものなのだろうか?いや、実際のところ、両者は似て非なるものである。本記事ではその違いを説明する。
クラウドアプリケーションとウェブアプリケーションを分ける境界線は、近年では特に曖昧になってきている。その理由として、もともとから両者がよく似たものであったという点はもちろんある。しかし筆者に言わせると、両者の間には大きな違いが存在しているのである。そういった違いは、クラウドアプリケーションによってユーザーのカスタマイズエクスペリエンスを改善し、耐障害性とスケーラビリティに優れたバックエンドインフラとのシームレスな統合を目指す場合に特に顕著なものとなる。なお、これらはパブリッククラウドサービスの特徴として語られることも多い。
ウェブ革命
ではこれら2つのコンセプトの相違点や類似点、あるいは曖昧さを突き詰めると、どのようなことが見えてくるのだろうか?また、こういったことはクラウドアプリケーションのコンシューマーに対して、どのような懸念を投げかけるのだろうか?さらに、アプリケーションサービスプロバイダーは、自社のウェブアプリケーションをクラウドに対抗できるようにしていくうえで、どのように変革していくべきなのだろうか?
クラウドアプリケーション
筆者に言わせると、クラウドアプリケーションとは進化したウェブアプリケーションのことである。クラウドアプリケーションはウェブアプリケーションのようにインターネット経由でオンラインサービスにアクセスして動作するものの、常にウェブブラウザが必要となるわけではない。サービスプロバイダーの提供する、カスタマイズ可能でマルチテナント対応のクラウドアプリケーションがウェブブラウザからのみ利用可能となっているという場合もあり得るものの、オンラインサービスを利用するカスタムビルドされたクラウドアプリケーション向けの代替アクセス手段として、かなりの頻度でウェブインターフェースが用いられている。
一般的に言って、クラウドアプリケーションは以下のような先進機能によって特徴付けられる。
- データはクラウド、あるいはクラウドライクなインフラ内に保存される。
- データは完全なオフラインモードでも利用できるよう、ローカル環境に保存できる。
- さまざまなユーザー要求をサポートしている(例を挙げると、データバックアップ用クラウドアプリケーションには、データ圧縮やセキュリティ、バックアップスケジュール設定等のさまざまな機能が搭載されている)。
- ウェブブラウザおよび/あるいはPCや携帯電話といったインターネット接続が可能な機器上にインストールしたカスタムビルドアプリケーションから利用することができる。
- オンデマンド型のコンピューティングサイクルや、ストレージ、アプリケーション開発プラットフォームといった幅広いサービスへのアクセスに用いることができる。