電機メーカー大手8社の決算を通じて、電機業界の課題と展望を示してきた本特集「電機大手の2011年度決算を読む」。
今回は「有機ELテレビ」について解説します。決算が出そろった後も各社のさまざまな動向が伝えられていますが、中でもパナソニック本社の人員削減と並んで注目を集めたのが、ソニーとパナソニックの提携交渉です。
前回の「テレビ編」とあわせてご覧ください。(ZDNet Japan編集部)
韓国勢が有機ELテレビの商品化を推進
次世代テレビと言われる有機ELテレビを巡る動きが、少しずつ表面化してきた。
韓国のサムスン電子が、年内に55型の有機ELテレビを発売することを公表。LG電子も同じく55型の有機ELテレビを発売すると発表しており、液晶、プラズマに続く新たな薄型パネル搭載テレビの登場が、俄然、現実味を帯びてきたからだ。
有機ELテレビは、液晶テレビやプラズマテレビよりも薄型化が可能であり、さらに応答速度や視野角での優位性、色の再現性でも威力を発揮する。当面の価格は液晶テレビの3倍程度と高止まりするだろうが、新たなパネルを採用したテレビの投入に韓国勢が相次いで名乗りをあげたことは、世界中から注目を集める出来事となっている。
※クリックで拡大画像を表示
そうしたなか、日本においては、パナソニックとソニーが有機ELテレビの開発で提携交渉を進めていることが明らかになった。
2007年に世界初の有機ELテレビを市場投入していながら、継続的な製品投入を停止したソニー。そして有機ELテレビの市場投入を2015年までとするなど、韓国勢に比べて遅れをとっているパナソニック。この両社が手を組むことで、韓国勢の動きに追随する格好だ。
現時点では両社ともに、提携について「当社が発表したものではない」「現時点で決定した事実はない」との公式コメントを発表しているに過ぎないが、関係者への取材では「様々な可能性を検討する上での動きのひとつ」と、交渉の事実を認める。
だが、交渉の事実があったとしても、両社の提携が順調に進むかどうかは話が別だ。その背景には、一筋縄ではいかないいくつかの要素があるからだ。
テレビ用途のソニー、非テレビ用途のパナソニック
なかでも最大の理由は、有機ELを巡る両社の姿勢が大きく異なることだ。