パソコン分野で台風の目となるアップル

大河原克行 2012年06月04日 13時02分

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国内PCメーカー各社では、2011年度に目標販売台数の未達が相次ぎました。震災に加え、タイ洪水の影響によるハードディスク調達の遅れなどが背景にあります。しかし、堅調に推移したと見てよいでしょう。

一方、海外メーカーの動向に目を移すと、好調のアップルが台風の目となっている一方で、Windows陣営が苦戦しています。

本特集「電機大手の2011年度決算を読む」も、いよいよ佳境に入ってきました。今回は電機大手の「PC事業」を解説します。(ZDNet Japan編集部)

2012年度は海外での成長を目指す

 2011年度決算において、PC分野の業績は比較的堅調に推移。さらに、2012年度は各社とも積極的な成長戦略を打ち出している。

 国内PCメーカーとして最大規模を誇る東芝は、2011年度のPC事業の売上高が前年比10%減の8229億円、営業利益は13%増の114億円と2期連続での黒字となった。

 2011年度のPC出荷台数は前年並の1900万台。販売台数は国内を中心に伸長したものの、円高の影響と欧米での伸び悩みによって減収。一方でコスト削減施策の徹底と部材価格の低減の効果などにより増益となった。

 2012年度については、前年比11%増の2100万台の出荷を見込むが、売上高は前年並の8200億円、営業利益は56%減の50億円としている。

 販売台数では2桁増という意欲的な数字を見込むが、為替の影響や単価下落の影響によって、利益が縮小するという見通しだ。

  • タイにあるソニーの工場も洪水被害を受けた

  • HDDメーカー大手Western Digitalのタイ工場

 ソニーは、2011年度のPCの販売台数が840万台となり、前年実績の870万台を下回る格好となった。期初には、同社初の1000万台突破を目標としていたが、それを大きく下回った。とくに第4四半期の落ち込みが大きく、前年同期比11%減の160万台と2桁の減少。タイの洪水被害の影響でハードディスクの調達に遅れが出たことが影響したという。

 2012年度の出荷計画は、19%増の1000万台と、再び1000万台を目指す意欲的な計画となっている。「PCでは、東日本大震災の影響や、タイ洪水被害の影響からの回復が見込まれる」としている。

 富士通は、PCおよび携帯電話などを含むユビキタスソリューションの売上高は前年比3%増の1兆1542億円、営業利益は同12.1%減の199億円。PCの出荷台数は前年比11%増の602万台と2桁成長を達成した。

 企業向けの大型ロット商談があったことがプラスに影響しているが、タイ洪水被害によるハードディスク調達の遅れなどが影響し、期初目標の660万台は下回った。また、個人向けPCの価格下落も大きく響いた。

 2012年度のユビキタスソリューションの業績見通しは、売上高が前年比0.5%増の1兆1600億円、営業利益は同25%増の250億円。PCの販売台数は700万台を計画している。

 NECは、法人向けPCや携帯電話などを含むパーソナルソリューション事業の売上高が14%減の6610億円、営業損失は29億円増の10億円となった。個人向けPCの非連結化などにより減収となったが、開発費の効率化、費用削減効果により増収となった。

 2012年度のパーソナルソリューションの売上高は、売上高が8%減の6100億円、営業利益は90億円増の100億円を計画。しかし、上期は厳しい状況になるとしており、売上高が前年比25%減の2650億円、営業損失は54億円減の20億円の赤字転落を見込んでいる。レノボとのジョイントベンチャーにPC事業を移管したのは昨年7月。今年度第1四半期までの個人向けPCの非連結化が影響するとみている。

 NECが担当する法人向けPC事業や、個人向けPC事業を担当するNECパーソナルコンピュータでは、今年度から具体的な実績や計画については公表していないが、レノボとのジョイントベンチャー後、シェアが減少しておらず、販売台数では比較的好調な実績といえそうだ。

 実際、NECとレノボの国内における合算シェアは、2010年度第4四半期には24%だったものが、2011年度第4四半期には25%に上昇しているという。

 パナソニックは、2011年度のPCの出荷台数が前年比16%増の74万台となった。同社のPC事業としては、過去最高の出荷台数を記録。同社ならではのビジネスモバイルの提案や、堅牢性を重視したフィールドモバイルでの利用拡大が貢献した。

 そして、2012年度は前年比14%増の84万台を計画する。これも過去最高を更新する意欲的な計画だ。

 こうしてみると、国内PCメーカーは2012年度の成長を見込んでいる。各社に共通しているのは、国内成長よりも海外での成長であり、海外での成否が2012年度のPC事業の成長率を左右することになる。

 PCでは、海外メーカーの動きも捉えておく必要があるだろう。

 海外主要PCメーカーの最新四半期の業績もみておきたい。

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