エルピーダメモリが2月27日、会社更正法の手続き開始申し立ての申請を東京地方裁判所に行った。
負債総額は約4480億円に達し、製造業としては過去最大規模となる。
2009年に世界トップクラスのDRAMの開発設計技術を有していることが認定され、経済産業省から産活法(産業活力の再生および産業活動の革新に関する特別処置法)による事業再構築計画の認定を受け、公的資金から300億円のほか、三井住友銀行など4行からの約1000億円の協調融資により、経営再建を目指していた。
今回の経営破綻で日本政策投資銀行による出資金などに損失が発生。国民負担への影響を指摘する声も出ている。
価格下落、劇的な円高、タイ洪水による需要停滞
エルピーダメモリは、1999年にNECと日立製作所のDRAM部門が統合し、NEC日立メモリとして設立。2000年には現在のエルピーダメモリに商号を変更した。さらに2003年には三菱電機のDRAM事業を統合。2005年には東証一部に上場している。
NEC時代からの広島工場を中心に、DRAMの後工程を行う完全子会社の秋田エルピーダや、前工程を行う台湾の合弁会社であるRexchip Electronicsを持つほか、台湾のPowerchipなどに生産委託していた。
エルピータメモリの坂本幸雄社長は27日夜に行われた会見で、会社更正法の申請に至る経緯を説明。「2007年頃からDRAM価格が下落しはじめ、2008年秋にはリーマンショックに起因する世界的な経済環境の悪化により、さらにDRAM価格が下落。2009年3月期には1780億円の純損失を計上した。その後、産活法による事業再構築計画の認定を受け、経営再建の努力をしてきたが、DRAM価格が1年前の約3分の1になったこと、対米ドルの劇的な円高が続いていること、タイの洪水によりDRAMの需要が停滞したことなどにより、2011年度第2四半期には488億円の純損失、第3四半期には421億円の純損失を計上。債務の支払いが困難な状況に至った」とした。
会社更正法申請の意思決定をしたのは、27日午後3時。金融機関から出資やパートナー企業との提携などを模索していたが、「具体的なコミットメントがなく、こうしたなかで自力で会社を再生するにはリスクがあること、長期的なキャッシュフローの観点からもリスクがあると判断した」という。
2月4日に発表した2011年度第3四半期決算では「資金繰りは3月までは問題がない」と発言していたが、「金融機関からのリファインナンスが難しいなど、その先にショートするのがわかった」とした。