日立製作所は6月14日、アナリストと報道関係者を対象にした「Hitachi IR Day 2012」を開催した。
インフラシステム事業、電力システム事業、情報・通信システム事業、鉄道システム事業、都市開発システム事業、オートモーティブシステム事業、コンシューマ事業の7つの事業責任者自らが、2015年度までの中期経営計画を公表。アナリストなどの質問に直接答えた。
今回は、日立における各事業の2015年度目標を事業責任者の発言とともにまとめて紹介したい。
日立製作所の中村豊明執行役副社長
日立製作所の中村豊明執行役副社長は、「Hitachi IR Day 2012は、我々の取り組みをご理解いただくとともに、事業責任者自らが経営者の視点で語ることを実践する場でもある」などとした。
同社が全社規模で取り組んでいる「Hitachi Transformation Project」によるコスト構造改革を各事業部門で推進し、営業利益の向上などに直結させる姿勢も明らかにされた。
インフラシステム事業では、2015年度の売上高目標が1兆円、営業利益は700億円超、営業利益率7.0%超、海外売上高比率33%を目標に掲げ、ITとの融合によって高度化されたインフラシステムをグローバルに提供し、社会イノベーション事業を牽引する。
「情報・通信システム事業とは兄弟のような関係で取り組んでいく」(インフラシステムグループ長兼インフラシステム社社長の齋藤裕執行役専務)とした。
電力システム事業では、2015年度に売上高が9500億円、営業利益は570億円、営業利益率6.0%、海外売上高比率50%を目指し、「先進エネルギー技術で地球の未来を創るリーディングカンパニーを目指す」(電力システムグループ長兼電力システム社社長の石塚達郎執行役常務)とした。一方、火力事業の減速を指摘しており、ガスタービンや自然エネルギー、環境システムを戦略事業分野と位置づけて取り組んでいく姿勢を示した。
情報・通信システム事業は、2015年度の売上高が2兆3000億円、営業利益が1850億円超、営業利益率が8.0%超、海外売上高比率で35%、サービス売上高比率で65%を目指すとし、事業方針に「お客様との協創による社会イノベーション事業への貢献」を掲げ、「社会インフラシステム分野での事業拡大により、グローバルメジャープレーヤーを目指す」(情報・通信システムグループ長兼情報・通信システム社社長の岩田眞二郎執行役専務)とした。
情報・通信システム事業では、高信頼クラウド事業、スマート情報事業、ビッグデータ利活用事業に注力し、「将来的には2桁の営業利益率を目指したい」などと意欲をみせた。
高信頼クラウド事業では2015年度の売上高計画を5000億円、スマート情報事業では1000億円、ビッグデータ利活用事業は1500億円の売上高をそれぞれ目指す。
鉄道システム事業は、2015年度に売上高が3200億円、営業利益が256億円、営業利益率が8.0%、海外売上高比率が60%超を目指す。「国内で培った技術のグローバル展開加速」(交通システム社社長の中山洋執行役常務)を掲げ、国内では車両システム拡販、信号・列車制御システムの高シェア維持、ハイブリット駆動システムなどの新事業の推進を、海外では保守事業の拡大などに取り組む。
都市開発システム事業では、2015年度に売上高5000億円、営業利益500億円超、営業利益率10.0%超、海外売上高比率43%を目指す。「海外事業を中心としたさらなる事業拡大」(都市開発システム社社長の池村敏郎執行役常務)に取り組み、昇降機事業では2015年度に世界シェア目標12%を目指す。
オートモーティブシステム事業では、2015年度に売上高1兆円超、営業利益500億円超、営業利益率5.0%超、顧客海外拠点向け売上高比率で60%超を目指す。「電子・電動化技術で世界をリードするシステムサプライヤーへの進化」(日立オートモーティブシステムズの大沼邦彦社長)をあげ、地産地消に基づく世界戦略投資の実行やグローバルモノづくり力の強化に取り組む。
コンシューマ事業においては、日立アプライアンスの2015年度の売上高が6550億円、営業利益が327億円、営業利益率が5.0%、海外売上高比率が45%とした。日立アプライアンスの山本晴樹社長は、「地産地消とプレミアム戦略を軸にグローバル環境貢献企業として事業を拡大する」と語った。
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