シャープは6月26日、大阪市中之島のグランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)で、第118期定時株主総会を開催した。
2011年度に同社過去最大となる3760億円の最終赤字を計上。台湾の鴻海(ホンハイ)グループの資本参加や、4月1日からスタートした奥田隆司新社長体制など、話題の多い株主総会だったこともあり、株主からは質問が相次いだ。
質問者は前年の11人に比べて14人と増加したが、会場に出席した株主数は1787人(前年実績は1792人)とほぼ前年並み。終了時刻は、12時18分(前年の終了時刻は12時21分)とこちらもほぼ前年並みとなった。
株主総会は、議長を務めた片山幹雄取締役会長による謝罪から始まった。
鴻海がシャープを買収する考えは完全否定
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冒頭に役員全員を起立させ、「誠に遺憾ながら、3760億円の赤字という大変厳しい業績により、株主の期待に応えることができず申し訳ない。役員一同、業績の回復に向けて努力していく。一層の支援をお願いしたい」と株主に謝罪した。
株主からの質問内容は、赤字からの脱却を図る新たな経営体制やグローバル化への取り組みについて、あるいは製品に関するものなどが目立ったが、やはり鴻海(ホンハイ)グループとの戦略的提携に関するものが多かったのが印象的だ。
議長を務めた片山幹雄取締役会長(モニター画像を撮影)
前日の日本経済新聞 電子版による報道で、鴻海側がシャープを買収する考えがあると報じられたが、これに関する質問について奥田社長が回答。「私も片山(片山幹雄会長)も鴻海のテリー・ゴー(郭台銘)会長とは2人で何度も会って話をしている。この協業では、共存共栄、共生、相互繁栄をモットーにしている。報道のような事実はない。安心してほしい」と完全否定した。
また、これまでの報道で、シャープディスプレイプロダクツ(SDP)の社名変更の検討や、鴻海の人材によるSDPの社長就任、米VISIOからシャープへの出資の話があったとされる点についても質問が飛び、これに対しても奥田社長が回答。「鴻海との間では様々な件で協議をしており、SDPの社名についても協議をしている。社名をどういう形にするかは取締役会で決定する。SDPの役員人事についても最終的にお互いの取締役会で協議するが、社長についてはシャープ側からの出向になる」としたほか、「米VISIOからの出資の話があったとされる件については、もともとSDPへの出資を考えたときに、出口を持っている企業(=ブランドを持つメーカー)からの出資が望ましいと考えたこともあるが、それはやめた。結果として、鴻海に決めた」と、事実であることを認めた。
さらに株主の懸念は、鴻海への技術流出にも及んだ。