マイクロソフト、クラウドPC管理のWindows IntuneにAD連携やモバイル対応の新機能

怒賀新也 (編集部)

2012-06-27 15:36

 日本マイクロソフトはクラウド型のPC管理サービス「Windows Intune」に、6月中旬に米国オーランドで開催されたカンファレンス「TechEd North America 2012」での発表を受け、新機能を追加する。オンプレミスで構築した既存のActive Directory(AD)環境との同期や、iOSやAndroidを含めたモバイルデバイスの対応が主な変更点としている。

 Windows Intuneは、企業のIT管理者が社内のPCなどの端末を、シンガポールにあるMicrosoftのデータセンター上に構築されたクラウド環境を利用して管理するサービス。PC1台あたり月額1230円で提供する。更新管理、マルウェア対策、リモートアシスタンス、ポリシーベースの構成管理、稼動監視、資産管理といった機能をまとめて提供しており、IT管理者はブラウザベースの管理コンソールを使って従来より容易に端末を管理できる。

 日本マイクロソフトは「端末管理のしやすさを追求している」と機能追加の背景を説明。「6月リリース」では具体的に、ADとのID同期、グループ管理の拡張、ユーザー用セルフサービスポータルの実装、Windows Phone 7/iOS/Androidなどのモバイルデバイスの管理、iOSやAndroidでアプリストアを介さずにアプリを購入できる「サイドローディング」機能、帯域幅の最適化、リモートタスクの拡張、Windows Intuneソフトウェアの自動削除といった機能が加わった。

 同社は「特に重要なものはADとの同期機能とモバイルデバイスに関する新機能」と話す。以前から「既存のサーバ環境の資産を活用しながらクラウドを使いたい」「PCだけでなくデバイスの多様化に対応してほしい」といった顧客の要望があり、それを聞き入れる形となった。

 Windows IntuneのADとの連携機能では、既にオンプレミス環境でADを導入している企業が、ADのユーザー情報をデータセンター側のクラウド環境である「Windows Azure Active Directory Service」環境に同期できるようになった。同期の頻度は基本的に3時間ごと。一方、既存のADを持たない企業は、直接クラウド側にユーザー情報を登録できる。

Active Directoryとの連携が可能に
Active Directoryとの連携が可能に

 一方、モバイルデバイスへの対応では、Windows Phone 7/Android/iOSに対して、Exchange ActiveSyncを活用してさまざまな管理ができるようにした。そのほか、パスワードによるログインの複数失敗時における自動ワイプ機能や、カメラやウェブブラウザなどの使用を制限できるようにする。

コンソールからPCを容易に管理できる
コンソールからPCを容易に管理できる

 帯域幅の最適化の取り組みも強化した。複数のPCにデータを配布する際に、1台のPCに配布したデータをキャッシュ上に置き、他のPCはそのキャッシュ領域にデータを取りに行くことで、ネットワーク全体の帯域幅への負荷を抑えるBranch Cache機能を組み込んだ。

 

 山梨県の山中湖村役場では、PC管理ツールの契約が2012年6月に切れるのを機に、PCの管理方法を見直しを決め、2011年10月から選定を開始した。重視したのは「AD以外のPCも管理できること」「専門知識の少ない兼任の管理者でも操作できること」「本来の業務に注力できるように管理の手間を省けること」の3つ。結果としてWindows Intuneを選択し、試験運用を経て2012年7月からは役場全体の約120台のPCを管理する予定としている。

 なお、価格には割引制度がある。管理端末が250台以上なら1台1195円、2400台以上なら1158円とさらに割安になる。6000台以上なら1121円、15000台以上なら1084円。Windows Intuneの購入方法は「MOSP(Microsoft Online Subscription Program)」と「Windows Intune ボリュームライセンス」の2通りがある。

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