今週の明言--業界リーダーが語るIT市場の行方

松岡功

2012-08-10 12:00

本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

今週は、大塚商会 大塚裕司 代表取締役社長と、富士通 加藤和彦 取締役執行役員専務の、いずれも決算会見での発言を紹介する。(ZDNet Japan編集部)


「経費削減、生産性向上、節電に対するニーズはどの企業にもある。それをしっかりつかんでいけば数字はついてくる」
(大塚商会 大塚裕司 代表取締役社長)

 大塚商会が8月1日、2012年12月期の中間決算(2012年1月1日-6月30日)を発表した。大塚氏の発言は、その発表会見で、今年後半に向けての意気込みを語ったものである。

 同社の連結ベースの中間決算は、売上高2663億円(前年同期比6.9%増)、営業利益168億円(同21.1%増)、経常利益173億円(同21.6%増)、純利益99億円(同26.9%増)と増収増益で、売上高は過去最高、利益も20%以上の伸びを示すなど好調に推移した。

大塚商会 大塚裕司 代表取締役社長
大塚商会 大塚裕司 代表取締役社長

 大塚氏は業績好調の要因について、「昨年は東日本大震災の影響で厳しい環境だったが、今年上期は当社の大半のお客様である中小企業のIT需要も堅調に推移した」と説明した。

 こうした好調な中間決算を受け、2012年12月期通期の連結ベースの業績見通しでは、売上高5029億円(前期比5.2%増)、営業利益266億円(同15.2%増)、経常利益273億円(17.1%増)、純利益152億円(同19.8%増)と当初計画を上方修正し、売上高で初めて5000億円超えを目指す構えだ。

 同社は今年後半に向けた国内IT市場の動向について、次のようにみている。

 「企業のIT投資は慎重さを伴いながらも、底堅く推移するとみている。西暦2000年問題対応のために導入したシステムの更新需要二巡目、IPv6対応などによる買い換え、タブレット端末の活用などによる市場活性化や新たな市場創出が期待できる。また、昨年に引き続き、省電力パソコンやサーバの導入、サーバの統合化、省電力機器やLED照明を利用したビルエネルギー管理システム(BEMS)の導入といった電力使用量削減や、バックアップサービスおよびASPなどのデータセンター利用によるBCP対策へのニーズも期待できる」

 こうした見通しを示したうえで、大塚氏が最後に強調したのが冒頭の発言である。

 大塚商会の決算が注目されるのは、中小企業を中心に幅広い業種にわたる80万社を超える顧客を持つ同社の業績動向が、国内企業のIT投資の実態を示す指標ともいえるからだ。

 しかも、その基盤には「SPR(Sales Process Re-engineering)」と呼ぶCRMとSFAの機能を併せ持った独自のシステムがある。これによって、データに基づく科学的なアプローチによる顧客満足と効率的営業を同時に実現しているわけだ。80万社を超える顧客・営業情報が描き出す姿は、中小が多数を占める日本企業のIT化の縮図ともいえる。

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